第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「ゼロからイチを創る ~常識を疑い、組織力で難しい課題に挑戦する~」という経営理念のもと、日本のものづくり企業として、グローバルで成長することを目指しております。そのために、航空機関連部品に代表される難易度の高いものづくりに取り組むとともに、最先端技術の開発やイノベーションを推進しております。

 

(2) 経営環境

航空輸送業界は、新型コロナウイルス感染症による航空旅客需要の急激な減少に伴い甚大な影響を受けましたが、移動制限の緩和が進むにつれ航空旅客需要は急激に回復し、2024年には新型コロナウイルス感染症発生前の水準にまで回復するとともに、今後は長期にわたり成長することが見込まれております。

昨今多くの航空会社は大型機を活用し、主要空港などの大規模拠点(ハブ)に輸送を集中させ、そこから中小型機を活用して各拠点(スポーク)に輸送を行うハブアンドスポーク方式ではなく、中小型機等を活用し、出発地から目的地に直接輸送を行うポイントトゥポイント方式を採用する傾向があります。これは、エンジン性能の向上による規制緩和や、中小型機の燃費向上に伴う長距離飛行の実現に伴い、ポイントトゥポイント方式の方が、乗換等の手間が不要で柔軟なフライト設定が可能となるためであります。こういった背景により、中小型機である仏Airbus社製A320neoファミリー、並びに米Boeing社製737MAXについては、2025年の年間引渡機数がそれぞれ、607機、440機に対し、2026年6月末時点での受注残高機数は、それぞれ7,469機、5,404機となり(出所:一般財団法人日本航空機開発協会)、受注残高機数は年間引渡機数に対して10年を超えるほどの水準となり、今後も生産を拡大することが見込まれております。仏Airbus社、並びに米Boeing社は、これらの需要に対応するために増産に向けて取り組んでおり、両機種には当社製品が搭載されるLEAPエンジンが採用されていることから、当社グループのチタンアルミブレードの需要も増加することが見込まれます。

また、航空機業界は、新型コロナウイルス感染症による影響を発端としたサプライチェーンの毀損や人手不足等により、各種部品を供給できるサプライヤーが世界的に不足しています。こうした中、チタンアルミブレードの供給実績があり、地政学的に安定した日本にある当社グループにとっては、新たな量産案件を獲得できる機会が拡大しています。

その他にも、航空業界では2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、機体メーカー及びエンジンメーカーにおいてCO2削減に向けた取り組みが加速しております。今後、CO2削減に向けた取り組みが、当社グループを含めたサプライチェーン全体で更に求められることになると考えられます。

 

(3) 中期経営戦略

当社グループは、仏SAFRAN社との契約に基づき、LEAPエンジンに搭載されるチタンアルミブレードの量産加工・販売を主たる事業としております。仏SAFRAN社は、拡大する航空機需要に対応するため、LEAPエンジンの生産能力増強を進めております。他産業と比較して高い品質水準が求められる航空機関連部品の量産には、サプライヤーにも高い技術力や品質保証力が要求されることから、長期的に高品質な部品を安定供給できるサプライヤーを確保する動きが強まっております。特にチタンアルミブレードは、当社グループを含め、世界で2社のみが供給していることから、LEAPエンジンの生産拡大には、当社の生産能力の拡大が不可欠となります。そうした中、当社グループの量産実績、生産性向上への取組み、品質水準、技術開発に基づく提案、並びにこれらを支える組織体制等を評価頂き、2024年10月に仏SAFRAN社との間で供給期間の延長、マーケットシェアの拡大等に関する更新契約を締結しました。

一方で、チタンアルミブレードの材料は、欧州企業1社のみに生産を依存していることから、供給リスクを抱えておりました。このような状況を踏まえ、当社グループは、材料供給から加工までを担う垂直統合体制の構築と、収益拡大を目指し、数年にわたり新材料の開発に取り組んでまいりました。その結果、新材料の量産化に目途が立ち、2027年6月期から量産供給を徐々に開始するとともに、2028年1月からはマーケットシェアが更に拡大する予定です。

当社グループは、チタンアルミブレードの需要増加およびマーケットシェアの拡大により、チタンアルミブレード加工販売を拡大するとともに、チタンアルミブレードの新材料の販売を新たに加えることで、売上と利益の増加を目指します。あわせて、生産効率の向上と原価低減に取り組むことで、収益力強化を図っていきたいと考えております。また、当社グループは、航空業界全体で求められるCO2排出量削減を重要なサステナビリティ課題と認識し、CO2削減に向けて継続的に取り組んでまいります。

一方で、当社グループはチタンアルミブレード販売への依存度が高いことから、チタンアルミブレード量産加工で得た技術・経験、並びに資金を活用し、新たな航空機部品の量産案件の獲得を進めてまいります。現在、2024年6月に竣工した新工場でLEAPエンジン以外の別の航空機エンジン部品の量産立上げを2件同時で進めております。航空機案件は初期投資が高く、量産立上までに時間はかかりますが、量産化が進むと、資金を長期に渡って獲得し続けることが可能となります。引き続き、当社の技術との適合性、収益性を考慮しながら、新たな量産案件の獲得を進めていく計画であります。

加えて、2026年6月に、航空機体部品の加工を主力事業とする株式会社オノプラントを完全子会社化いたしました。株式会社オノプラントをグループに迎えることで、航空機需要が拡大する中で、航空機関連ビジネスにおける事業ポートフォリオの拡充およびプレゼンスの向上を図るとともに、民間航空機体部品や防衛分野へ事業領域を拡大し、航空機関連ビジネス全体での競争力強化を目指します。この実現に向けて、当社が有するグローバルな顧客ネットワークと、株式会社オノプラントが有する国内大手重工業メーカーとの顧客基盤を相互に活用することで、新規取引の創出や取引拡大を目指します。また、当社の加工技術や一貫工程による生産能力を株式会社オノプラントへ展開することにより、付加価値の高い製品提供を実現し、両社の持続的な事業成長につなげていく考えです。

次にマーケット需要を見据えながらも、先端研究開発を積極的に進めていくことにより、製造業として長期的な収益力の基盤を構築したいと考えております。新たに供給開始予定のチタンアルミブレードの新材料の量産開発に加え、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術、並びにAM技術を活用した航空機エンジン部品のMRO(整備・補修・オーバーホール)についても技術・事業開発を進めております。AM技術は製造業の考え方を大きく転換させる可能性があり、将来の製造業のあるべき姿を常に検討しながら、研究開発を推進してまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、売上高、営業利益、EBITDAを重要な経営指標として管理しております。

当社グループは、企業として、一定程度の売上高規模を確立し、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益成長を継続することが、重要であると考えております。

一方で、当社グループは、チタンアルミブレード販売への依存度が高く、事業ポートフォリオ及び収益源の多様化を図り、特定製品への依存度を下げることが、永続的な成長のためには不可欠であると考えております。そのためには、チタンアルミブレード以外にも売上拡大を図ることが必要となりますが、新規量産案件拡大のためには、設備投資等の初期投資が発生し、一時的な利益率の低下を招くことが想定されます。そのため、現時点においては、営業利益に加えて、売上高も重要な指標であると考えております。加えて、新規量産案件拡大のための設備投資が今後も継続すると考えられることから、収益性や現金創出力をより適切に把握するために、減価償却費の影響を排除した指標であるEBITDAも重要な指標と位置付けております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上の課題

① 原価低減と生産効率の向上による利益及びキャッシュ・フローの創出

航空機需要拡大によるチタンアルミブレードの需要拡大に伴い、当社グループの売上高は増加するとともに、新型コロナウイルス禍において積極的に取り組んだ工程の自動化、内製化、その他原価低減活動やトヨタ生産方式の実践により、当社グループの損益分岐点は新型コロナウイルス発生前から大きく低減しました。

一方で、需要の増加、マーケットシェアの拡大に対応しながら、チタンアルミブレード新材料の量産化を実現するために、大型の設備投資や人員拡充を進めており、固定費が増加することが想定されます。こうした状況下で利益やキャッシュ・フローを拡大するためには、原価低減や生産効率の向上が不可欠となります。当社グループは、この課題に取り組むため、より一層の生産性の向上及び生産体制の構築に努め、中長期での利益及びキャッシュ・フローの最大化を推進してまいります。

 

② 収益の多様化と生産性の向上

現在、当社グループの収益の大半が仏SAFRAN社に対するLEAPエンジン向けチタンアルミブレードの量産加工・販売から成り立っております。収益の多様化を図るために、チタンアルミブレードの新材料の鋳造量産に加え、LEAPエンジンではない別の航空機エンジン部品の加工量産の立ち上げを進めております。当連結会計年度から、LEAPエンジンではない別の航空機エンジン部品の加工量産が一部開始されましたが、利益やキャッシュ・フローの拡大を図るためには、歩留まりの向上や生産性の向上を図ることが不可欠となります。当社グループはこの課題に取り組むため、より一層の量産技術開発、生産性の向上及び生産体制の構築に努め、中長期での利益及びキャッシュ・フローの最大化を推進してまいります。

また、チタンアルミブレードの加工で培った技術・経験、並びにAM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術等を活用し、更なる新規案件の獲得に積極的に努めてまいります。

 

③ 環境問題への取組

当社グループは、環境問題に積極的に対応するため環境マネジメントシステムの国際規格「JISQ14001」の認証を取得しております。また、製品の品質保証、顧客満足度や情報セキュリティの向上等を目的に、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格「JISQ9100」や、情報セキュリティマネジメントシステム「JISQ27001」認証を取得しております。

一方で、航空産業においては、機体メーカーやエンジンメーカーが、カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減への取り組みを強化しており、サプライヤー全体でCO2削減を実現することが求められております。当社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、環境問題に向けた取り組みを加速してまいります。

 

④ 技術の開発

当社グループが、加工技術で今後も競争優位を発揮し、収益性を維持するためには、新たな技術を取り入れることが不可欠であります。また、収益の多様化を図るために、新材料やAM等、新たな技術の開発を取り入れていくことも必要であります。当社グループは、積極的に新たな技術の開発を行い、技術的優位性及び収益の多様化を図ってまいります。

 

⑤ 人財の採用育成

当社グループが、新たな技術開発や新たな案件に取り組むためには、優秀な人財の確保と育成が不可欠であります。当社グループは、新規採用を強化するとともに、育成とフォローアップ体制の整備を充実させることにより人財のスキルアップと組織の活性化を図ってまいります。

 

⑥ 資金調達と財務基盤の安定性の確保

当社グループが、LEAPエンジン向けチタンアルミブレード需要拡大、新材料の量産、並びに収益の多様化実現に向けた新規案件を拡大するためには、新たな設備投資が不可欠となります。

当社グループは、収益多様化に向けた新たな設備投資を実行できるように、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを検討し、財務内容の最適化に努めてまいります。また、金利上昇下でも資金調達に支障をきたさぬように、金融機関との連携を密にしてまいります。

 

⑦ 内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の充実が不可欠であると認識しており、役職員のコンプライアンス意識の向上、当社グループの取引態様に即した内部管理体制の構築など、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する基本方針

当社グループは、「イノベーションで人と地球を美しく」というミッションステートメントの下、より美しい社会の実現のために、常にイノベーションを追求し、新たな技術、製品、並びにサービスを創造・提供し続けることを目指しており、これらを実践することがサステナビリティ経営そのものであると考えております。これらの実現に必要な企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、ステークホルダーとの協働が必要不可欠であると認識しており、ステークホルダーとの建設的な対話、公平・公正かつ透明性の高いガバナンスの実現、人権・環境・多様性への配慮により、人と地球の環境を大切にする社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する事項について、迅速な対応を行うために社内マネジメントメンバーで構成される経営会議において、審議・検討しております。これらの審議結果は、経営戦略やリスク管理・評価に反映するとともに、経営計画や目標に落とし込み、それに基づき各部門で必要な施策を実行しております。これらの進捗状況は、部門目標管理により把握するとともに、代表取締役社長は定期的に実施されるマネジメントレビューにより、その有効性を評価し、改善指示を行っております。このような活動の中で、経営に影響を与える重要事項については取締役会に報告し、必要な審議を実施しております。

なお、当連結会計年度現在において新たに当社グループに加わった株式会社オノプラントについては、当社のサステナビリティに関する方針及び体制を順次適用していく方針であり、当連結会計年度現在における取組状況の記載は当社単体を対象としております。

 

(3) リスク管理

当社グループはリスク管理の統括機関として「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、代表取締役社長を議長として、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。特定した気候変動に関するリスク及び機会は経営方針のなかで課題化し、全社で取組んでいます。また、JISQ14001に準拠した環境マネジメントシステム活動の一環で行うリスクアセスメントにより抽出した著しい環境側面を特定し、想定される緊急事態に対応する手順書の整備や訓練の実施、さらに必要な対策を施すことでリスクそのものの低減を計画的に進めております。

 

(4) 戦略並びに指標及び目標

① 気候変動への対応

2019年の国際航空分野におけるCO2排出量は、世界全体の約1.8%(6.2 億トン)(出典:国土交通省航空局「航空脱炭素化の取組の進捗について」)を占めており、国際民間航空機関は2022年10月の総会において、2050年までのカーボンニュートラルを目指す脱炭素化長期目標を採択する等、航空機産業においても脱炭素化の取組みが加速しています。航空機の運航分野におけるCO2排出量削減には、機体や装備品の軽量化による燃費性能の向上が求められる中、当社が製造するチタンアルミブレードは、従来のエンジンに使用されていたニッケル基合金に比べ重量は約半分であるため、エンジンの軽量化につながっています。このチタンアルミブレードが搭載されたLEAPエンジンは、他の新技術も組み合わせることで、従来のエンジンに比べて消費燃料とCO2排出量の15%、窒素酸化物排出量の最大50%削減を実現しています。当社グループは、今後もLEAPエンジン向けにチタンアルミブレードを供給することで、航空機産業の気候変動対策に貢献してまいります。

また、このような中で当社グループの主要顧客である仏SAFRAN社が、自社のScope1、並びにScope2を2025年までに30%、2030年までに50%削減を目指す(2018年比)ことを宣言しました。当社グループとしてはその取り組みに賛同し、社会から信頼される企業を目指していくため、社内で環境監視プロジェクトに加え、Carbon Neutral Projectを立ち上げ、部門横断で環境保護に取り組んでいます。

 

 

(環境監視プロジェクト)

 省エネ法及びJISQ14001環境マネジメントシステムに準じた活動を推進する組織です。事業活動に伴うエネルギー使用の合理化による省エネルギー対策、廃棄物排出量の削減対策を推進し、従業員への周知及び教育を実施しています。

(Carbon Neutral Project)

 カーボンニュートラルの実現に向けた中長期的な目標や方針の決定及び課題の特定、並びにこれらに関する施策を打つとともに、活動のモニタリングを行っています。2050年に向けたカーボンニュートラルをはじめとした環境問題への対応はもとより、グローバル動向や法規制を踏まえた中長期的な視点で取り組みを推進しています。

 

これらの活動に基づき、GHGプロトコルに基づくCO2排出量の算出を行い、CO2削減のための具体的な方法を検討し、当該内容を事業計画策定に反映させることとしております。具体的には、CO2削減のために、グリーンエネルギーの活用、最適な加工方法による電力利用量の削減、加工過程で排出される産業廃棄物のリサイクル、新材料開発によるサプライチェーン全体でのCO2の削減といった取り組みを実施しております。

これらの活動により、2050年に事業活動に伴うCO2排出量(Scope1、Scope2)の実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けて、2018年度のCO2排出量に対し、2025年度の主要製品の原単位排出量30%、2030年の主要製品の原単位排出量、及び総排出量の50%削減を目指しております。その結果、2026年6月期において、2018年度のCO2排出量に対し、2025年度の主要製品の原単位排出量30%という目標を達成いたしました。

 

<CO2排出削減目標>

・2025年度末までに2018年度比でCO2排出量30%削減(原単位)

・2030年度末までに2018年度比でCO2排出量50%削減(原単位&総量)

 

<CO2排出実績>

項目

単位:t-CO2

基準年

実績

2019年6月期

2025年6月期

(※2)

2026年6月期

(※3)

総量

Scope1

649

972

1,025

Scope2

2,254

3,039

3,586

Scope1+Scope2

2,903

4,011

4,612

対基準年増減率

-

+38.2%

+58.9%

原単位

(※1)

Scope1+Scope2

1.37

1.11

0.91

対基準年増減率

-

△19.0%

△34.0%

 

※1 原単位の分母は売上高(百万円)です。

※2 Scope1及びScope2排出量(総量)は、一般社団法人日本能率協会より第三者保証を受けています。

※3 2026年6月期実績につきましては速報値であり、正式な数値については第三者認証の取得が完了したのち、当社Webサイトにて開示させていただきます。

 

② 人的資本経営の推進

当社は、持続的な企業価値向上を実現するうえで、人財を最も重要な経営資本の一つと位置付けております。2025年4月に「AeroEdge Human Capital Management Policy」を掲げ、従業員一人ひとりに求めるマインドや取組み姿勢と組織としてのあるべき像を明確に示しました。当ポリシーの基本的な考え方は、社員一人ひとりの能力を高めつつ、人と人との良好な関係性を築くことで、強くしなやかな組織を構築し、個人と組織の潜在能力を存分に発揮させ、高い付加価値を創出することです。人的資本に関する方針及び施策については、経営層及び各部門と連携しながら企画・運営を行い、経営戦略と連動した人財戦略を推進しております。

当社グループの人材戦略と経営戦略との関連性、並びに従業員の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する方針につきましては、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」に記載しております。

そのため、下記では、人材育成及び社内環境整備の具体的な取り組み並びに指標及び目標について記載しております。

<AeroEdge Human Capital Management Policy>


・人財育成

当社グループが属する航空機関連部品業界は、グローバル企業が主要プレイヤーであり、そのような企業と取引を継続・拡大していくためには、技術革新により唯一無二を実現し続け、グローバルニッチ企業としての地位を確立する必要があります。そのために欠かせないのが各分野で世界をリードするグローバル人財です。当社は、各分野での高い専門性や潜在能力を秘めた優秀な人財の獲得と育成を推進すると共に、これらの人財が働きがいを感じ、存分に能力を発揮できる環境を整えることで、人的資本の最大化を図ってまいります。

教育体系は、人づくりとしての「Human教育」と専門性を高めるための「Professional教育」の2軸を基本として、各層で求められるテーマを体系化し、教育を実施しております。専門性の向上においては、業務に関連する資格取得も重要であることから、資格取得支援制度を充実させ、現在112種類の資格を対象に報奨金等でバックアップを行っております。前事業年度には優れた取り組みを讃える表彰制度を「AeroEdge AWARD」に改名し、「AeroEdge Human Capital Management Policy」に沿った取り組みを更に推進しております。また、企業価値向上や現場力強化には、日々の改善活動が重要であるとの考えから、改善活動に取り組んだ従業員への報酬として、社内仮想通貨である「EdgeCoin」を付与しています。改善事例は、報告会を通じて社内全体に共有するとともに、優れた提案等に対しては「AeroEdge AWARD」で表彰し、従業員の活動意欲向上を図っております。その他、従業員間で感謝の気持ちを贈り合う「サンクスポイント」の取り組みに注力し、人と人との良好な関係性の構築を促進しております。

また、採用活動では、キャリア採用に加え、新卒入社者の採用を強化しており、3か月間の新入社員研修と配属後のOJTリーダー・メンター制度の充実により、定着促進と計画的な育成を図っております。

 

・社内環境整備

当社グループは、「ゼロからイチを創る」という経営理念に基づき、従業員一人ひとりが挑戦をすることが会社の持続的な成長に不可欠であると考えております。そのためには、多様な人財がそれぞれの能力を存分に発揮できる職場環境が必要であり、社歴、年齢、国籍、性別等に関係なく、本人の努力によって、平等に活躍の機会が得られるような人事制度となっております。また、リモートワーク導入等による柔軟な就労環境の整備や、上長との定期的な1on1面談の実施、キャリアデザインセミナーの開催等により、キャリアプランや働き方に関して、サポートを受けやすい環境を整えています。

女性活躍推進の観点からは、製造工程の自動化等を積極的に開発・導入することで、性別を問わず製造に携わることができる仕組みを推進しております。また、産休・育休を取得しやすい職場環境を整備することで、妊娠や出産といったライフイベントによる社員の離職を無くすことを目指しております。

当社グループでは、これらの取り組みの進捗を把握するための指標として、以下を用いております。かかる指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

2025年6月期

2026年6月期

女性従業員比率

35.0%以上

23.7%

22.4%

女性エンジニア職比率

5.0%以上

5.0%

7.4%

外国籍従業員比率

設定なし

10.7%

14.3%

育児・介護による離職率

0.0%

0.0%

0.0%

育児休業取得率

女性:100.0%

  男性:50.0%以上

―

女性:100.0%

男性:100.0%

有給休暇取得率

70.0%以上

78.4%

84.2%

 

(注)1.女性従業員比率、外国籍従業員比率、育児・介護による離職率、育児休業取得率、有給休暇取得率は、雇用形態を問わない全従業員を対象として算出しております。

2.外国籍従業員比率については、特定の数値目標は設定しておりませんが、事業成長に必要な人財の確保を通じて、多様な人財構成の実現を目指しております。

3.「―」は、育児休業等取得の対象となる従業員がないことを示しております。

4.当社の単体数値となります。

 

当社グループは、今後も女性、外国籍の方、高齢者、障害をお持ちの方など、多様な人財の採用を継続し、多様な方々が働きやすく、存分に能力を発揮し、活躍できる環境整備を進めてまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。そのためのリスク管理体制としては、リスク管理規程を定め、四半期に一回(必要に応じて適宜)代表取締役、常勤取締役及び常勤監査役等で構成されるリスク・コンプライアンス委員会を開催し、リスクの調査、網羅的認識及び分析、各種リスクに関する管理方針の協議及び決定等を行うとともに、それら内容については、適宜取締役会にて報告が行われております。

なお、本項目の記載は全てのリスクを網羅したものではなく、業績等に影響を与えるリスクは下記項目に限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に関するリスク

① 主要な事業活動の前提となる事項、並びに特定の取引先及び製品への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

 当社グループは、航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機及び米Boeing社製737MAX機に搭載されるLEAPエンジンの構成部品であるチタンアルミ製低圧タービンブレードの生産・販売を主たる事業活動としており、当該部品を仏SAFRAN社へ販売しております。当社グループは、当該チタンアルミブレードの販売契約(当該契約の内容は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」をご参照ください)を同社と締結しておりますが、当社グループの連結売上高に占める同社、並びに同製品(関連売上を含む)への売上高の割合は2026年6月期において97.1%となっており、同社、並びに同製品への取引依存度が高い水準にあります。そのため、当社グループは、当該販売契約を事業に関わる重要な契約であると認識しております。

当該契約において、仏SAFRAN社は、原則としてLEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミブレードの総量の一定割合(以下、マーケットシェア)を契約期間中に渡って、かつ、原則として契約に定められた価格で当社に発注することが定められております。ただし、同社からは一定期間の発注見込数量が提示されますが、当該見込数量は保証されているわけではなく、確定発注数量は数週間分のみとなり、最低発注数量等も定められておりません。また、当該契約期間終了に伴う更新は自動で行われるわけではありません。

当社が(a)契約不履行や破産等した場合、(b)当社の支配株主が同社の競合企業となった場合、(c)LEAPエンジンの事業主体が変更された場合、(d)同社がオフセット取引(特定の国に製品を購入してもらう見返りに、技術移転や経済発展等を目的として、当該国での現地生産を行うといった取引)を実行する場合、(e) 当社とマーケットシェアや地理的条件が同じ前提において、価格・品質・生産体制面で、当社より一定水準以上の優位な競合先が発生した際に、当社が追随できない場合には、当該契約が終了、もしくはマーケットシェアが減少する可能性があります。また、LEAPエンジンの生産が何らかの理由で一時中断となった場合は、同社は当社の生産ラインの一時中断を要求することができ、その際の経済的保証はないことが定められています。ただし、上記(e)の事象が発生した場合に、同社はマーケットシェアを削減する権利を有する一方で、当該権利を行使することにより、当初のマーケットシェアの一定水準以上を削減する場合は、同社は一定の損害補償を当社に対して行うことが定められております。

なお、現時点において、上記記載の契約終了やマーケットシェアの変更等に影響を与える事象は発生しておりません。

当社グループは、仏SAFRAN社と、2024年10月に契約期間の延長およびマーケットシェア拡大に関する更新契約を締結しました。加えて、2025年11月に、2027年6月期からの新材料の供給、2028年1月からの更なるマーケットシェア拡大に関する更新契約を締結いたしました。これらの状況から当社は同社から一定の評価を得ているものと考えており、また、高い品質が求められる航空機エンジン部品製造は他業界と比較して参入障壁が高く、競合他社の参入は容易でないことから、今後も同社と取引を継続できるものと考えております。しかしながら、上記記載の契約終了やマーケットシェアの変更に該当する事象が発生した場合は、当社グループの業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社製品が搭載される航空機等に重大な不具合や事故が発生した場合、その原因究明及び安全性の確認のため同型式航空機の運航を見合わせることや、航空機等に安全性を著しく損なう問題が発生した場合は、各国において、安全性が確認されるまで同型式航空機の運航が認められない場合があります。

これにより、当該機体の生産計画の変更、生産停止などが発生した場合、当社グループの業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、引き続き同社が満足する製品を供給し、グローバル航空機エンジンメーカー大手である同社との取引関係を強化していく方針でありますが、同社、並びに同製品への依存度を引き下げるため、他の航空機エンジン部品等、当社の強みを発揮できる分野での新規量産案件の拡大に努めてまいります。

 

② 経済動向の悪化について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループの売上高の多くは航空機に使用される部品販売で構成されています。航空機業界は経済・マクロ動向の影響を受けやすく、世界的な景気悪化や国際紛争・テロの発生、感染症の流行等による旅客需要の減少や原油価格の高騰により、エアラインや航空機メーカー等の業績や経営基盤が悪化した場合、当社グループの受注高や売上高の減少など、当社の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 原材料の代替について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:大)

 当社グループの売上高の多くを占める航空機エンジン用のチタンアルミブレードの材料は、仏SAFRAN社からの無償供給となっております。そのため、直接的に当該資材等の価格が当社の業績に影響を与えることはありませんが、この原材料については、その特殊性から供給元が限定されるものとなっており、供給者における事故や品質上の問題、あるいは国際情勢の悪化等により供給不足及び納入の遅延等が発生した場合は、生産スケジュールの遅延に伴う売上や利益の減少による業績の悪化、また、それに伴う売上入金の減少による資金繰りの悪化等、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。過去においても、当該材料の供給元における新型コロナウイルス等に起因する人員不足や設備故障の発生等による材料の供給遅延が発生しており、当社の生産数量に一定の影響を与えております。

 当社グループは、当該材料供給の影響を最小限にするために、新材料の開発を進めてまいりましたが、量産化に目途がたったことから、2027年6月期から徐々に自社新材料の供給を開始する予定です。自社で新材料を量産することにより、材料供給リスクの回避を目指してまいります。

 

④ 新材料の量産について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:大)

 当社グループは、材料の供給リスクを回避するため、また、収益拡大を図るため、チタンアルミブレードの新材料を数年にわたり開発してきましたが、量産化に目途がたったことから、2027年6月期から徐々に自社新材料の供給を開始し、最終的には当社で加工するチタンアルミブレードの全量を自社新材料に切り替えていく予定です。一方で、鋳造による新材料の量産は、当社にとって初めての経験であり、万が一、新材料の量産化に失敗した場合や、量産スケジュールに遅延が発生した場合、また、想定通りの歩留まりを達成出来ない場合には、チタンアルミブレード全体の売上や利益の減少による業績の悪化、また、それに伴う売上入金の減少による資金繰りの悪化等、当社グループの業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、新材料の量産体制を早期に構築することにより、これらのリスク低減を図ってまいります。

 

⑤ 新規案件の量産について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループは、特定製品、特定顧客への依存度を引き下げるために、新工場を含む、設備投資を実施し、新たな航空機関連部品の量産立上げを進めております。当連結会計年度において、一部量産が開始され、2027年6月期から収益化されることを見込んでおります。一方で、万が一、当該量産に失敗した場合や、量産スケジュールに遅延が発生した場合、また、想定通りの歩留まりを達成出来ない場合には、業績の悪化、また、それに伴う売上入金の減少による資金繰りの悪化等、当社グループの業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 為替レートの変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの売上高の多くを占める航空機エンジン用のチタンアルミブレードは、米ドルによる外貨建て取引により輸出販売しております。2024年10月の仏SAFRAN社との契約改定において、為替レートの影響をヘッジするために、一定の為替レートレンジを超えて円高になった場合には、一部販売価格を引き上げ、円安になった場合には、一部販売価格を引き下げる契約を締結しましたが、一定の為替レートレンジ内においては、引き続き為替変動による影響を受けやすくなっております。また、当社は副資材等については、一部輸入によって調達していますが、輸出に対する輸入の割合は低いものとなっております。そのため、当社グループの業績は、為替相場の円高局面ではマイナスに、円安局面ではプラスにそれぞれ影響を受け、想定を超えた為替レートの変動があった場合には、当社の業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、これらの為替変動の影響を最小限にするため、為替予約取引等により、為替変動リスクのヘッジに努めてまいります。

 

⑦ 自然災害等の影響について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループの主たる生産拠点は栃木県のみであります。そのため、栃木県において大規模災害が発生した場合や、工場での事故や火災が発生した場合には、生産設備の破損、物流拠点の麻痺等が生じ、生産拠点の操業停止等、当社グループの生産体制が重大な影響を受け、当社の財政状態、経営成績等に重要な影響が及ぶ可能性があります。

 当社グループは、自然災害等の事象が発生する場合に備えて、事業継続計画(BCP)を策定し、一部工程について外注先を確保するとともに、可能な限り最短での生産復旧が可能となるように、生産復旧までのマニュアルの作成や、社内研修等を実施することで、業務中断に伴うリスクを最小限に抑えるように努めてまいります。

 

⑧ 製品品質や安全について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守及び製品品質や信頼性の向上に努めております。しかしながら、万一、製品に起因する品質上・安全上の問題により大規模なリコールや賠償請求に発展する場合は、多額のコストの発生につながり、当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客との契約上の保証条項の内容においても、支払補償費などの発生費用により当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、当該リスクを防止するため、品質や安全に関する管理基準の適切な運用を実施しております。具体的には、航空品質認証であるJISQ9100を取得し、それに基づいた品質保証システムの確立と管理を行うとともに、主要顧客である仏SAFRAN社の認証や国際特殊工程認証であるNadcapを取得・維持管理することで品質を担保しております。製造工程を変更する場合は、規程に基づく顧客承認プロセスを含む工程変更手続きを厳格に行い、履歴管理を実施しております。当社グループは徹底した品質や安全に関しての社内ルールを整備・運用することにより、品質・安全リスクを最小限に抑えるように努めております。また、当社グループは航空PL保険に加入することにより、大規模なリコールや賠償請求等に対する備えを行っております。具体的には、当社は、仏SAFRAN社が求める水準の航空PL保険に加入しており、同社との契約上、チタンアルミブレードの販売における当社の賠償責任は、当該航空PL保険金額が上限となっております。

 

⑨ 生産キャパシティの不足について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 当社グループ製品が搭載される航空機である仏Airbus社製A320neoファミリー機及び米Boeing社製737MAX機は、商業用航空機全体の受注残高の多くを占めており、両機種ともに生産拡大を進めております。また、仏SAFRAN社との契約更新により、2028年からマーケットシェアも拡大する予定です。当社は、これら需要の拡大及び、マーケットシェアの拡大に対応するため、今後設備投資等を行い生産キャパシティの増強を進めていく必要があります。しかしながら、当社が十分な生産キャパシティを確保できずに供給遅延等が発生した場合には、供給遅延に伴うペナルティ費用の発生に加えて、顧客である仏SAFRAN社からの信頼を失い、同社との将来の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、生産性向上を図ることにより、生産キャパシティの増強を継続的に推進するとともに、必要な設備投資等を行うことにより、生産キャパシティが不足しないように対応してまいります。

 

⑩ 法的規制等に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社グループは、事業活動を行うに際して、製造物責任法・独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律・工場立地法・消防法・毒物及び劇物取締法等の法的規制を受けております。当社グループは、JISQ9100やJISQ14001の認証を取得した工場として、各種法令・規則に則り生産活動を行っておりますが、今後、新たな法令の制定等規制の動向によっては、当社グループの事業展開が制約され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは直接的な法的規制は受けませんが、当社グループ製品の供給先である航空機エンジンが搭載される航空機等に重大な不具合や事故が発生したことにより、関係当局から当該航空機の型式証明等が取り消された場合、当社の受注数量が減少することになり、当社グループの業績、財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、法務業務を担当する経営管理部が、新たな法規制等を定期的に確認・対応すること、また、リスク・コンプライアンス委員会により当社グループ事業に影響を与え得る法規制等を幅広く確認し、必要に応じて対応を行うことで、当該リスクを最小限に抑えるように努めております。また、特定製品への依存度を引き下げるため、他の航空機エンジン部品等、当社の強みを発揮できる分野での新規案件の拡大に努めてまいります。

 

⑪ 固定資産の減損リスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、設立から2022年6月期まで継続して営業赤字を計上しておりました。また、製造業であることから工場建物、機械設備等、多額の固定資産を保有しております。今後も新規量産案件の拡大や、新材料の量産化に向けて、固定資産が増加していくことが想定されます。当該固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を認識すべきであると判定した場合には、それぞれの固定資産について回収可能性を評価することとなります。回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その差額は減損損失として当該期の損失として計上されるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、原価低減活動や新たな収益源の拡大に取り組むことで、減損リスクを最小限に抑えるように努めてまいります。

 

⑫ のれんの減損リスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社グループは、企業買収に伴い発生したのれんを計上しております。当該のれんにつきましては事業価値を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の変化等により当初期待した成果が得られない場合、のれんの減損処理等が発生し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

 当社グループは、投資後のモニタリングを適切に行い、シナジー創出と収益化の確度向上に取り組むことで、減損リスクを最小限に抑えるように努めてまいります。

 

⑬ 新型コロナウイルス等の感染症の発生について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 新型コロナウイルス感染症拡大は航空機による移動制限をもたらし、世界中のエアライン及び航空機メーカーは減便・減産を余儀なくされました。新型コロナウイルスやその他の感染症が今後新たに発生・拡大した場合は、航空機需要が減少し、当社グループの業績見通しが毀損する可能性があります。

 当社グループは、感染拡大防止のための対策を徹底するとともに、引き続き生産・製造規模の臨機応変な対処を行い、資金需要についても金融機関と緊密な調整を進めるなど対応を継続しております。また、原価低減活動や新たな収益源の多様化、事業継続計画(BCP)策定により、当該リスク発生時の影響を最小限に抑えるように努めてまいります。

 

⑭ 有利子負債への依存度について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

 当社グループは製造業であり、通常、収益の計上に先行して設備投資が必要となります。現状の事業拡大局面においては、設備投資額は増加傾向にありますが、資金面では手元資金に加えて金融機関からの借入金等によって調達しており、2026年6月期末において、5,410,909千円の借入金(総資産に対する割合44.1%)があります。そのため、収益力が低下し、借入返済に必要な十分なキャッシュ・フローを計上出来なかった場合や、当社の信用力低下等何らかの理由により調達に制約を受けた場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、2026年6月期末において、2,628,381千円の現預金を保有しており、一定の手元流動性を確保しておりますが、金融機関との良好な関係の維持・強化に努めるとともに、常に手元流動性の確保や資本効率の向上等の観点から検討を行い財務基盤の強化に取り組んでまいります。

 

⑮ 金利の上昇について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

 現在、当社グループにおける資金調達は、金融情勢も勘案の上、金融機関からの長期借入にその多くを依存しております。当連結会計年度においては、チタンアルミブレードの新材料供給やマーケットシェア拡大等に向けて、新たな借入を実施し、2026年6月期末において、5,410,909千円の借入金があります。今後、世界的な金融引き締めにより、金利が上昇した場合には、資金調達コストが更に増大し、当社グループの財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強化するとともに、資金調達手段の多様化等を進め、低利かつ安定的な資金の確保に努めてまいります。

 

⑯ 財務制限条項について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

 当社グループは、安定的な資金運用を図るため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、「第5 経理の状況 [注記事項](連結貸借対照表関係)」に記載のとおり、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。万が一、これらの条件に抵触した場合には、期限の利益の喪失等、当社の経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、経済情勢や金利動向、財務バランスを総合的に勘案し、有利子負債の適正な水準の維持に努めながら事業展開を行ってまいります。

 

⑰ 情報セキュリティについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社グループでは、製品の設計・開発、生産、販売など、事業活動において、情報技術やネットワーク、システム(ITシステム)を利用しております。これらITシステムの運用、並びに導入・更新に際しては、システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう安全対策を講じるとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(JISQ27001)認証を取得し、情報セキュリティ体制の強化を図っております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等により、重要な業務の中断やデータの破損・喪失、機密情報の外部漏洩などが発生する可能性があります。この場合、当社グループの信用低下や財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、情報セキュリティ対策の充実、役職員への教育、情報システムの社内バックアップ体制等により、当該リスクを回避できるように努めてまいります。

 

(2) 事業体制に関するリスク

① 代表取締役社長への依存及び当社グループの事業推進体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:小)

 当社の代表取締役社長である森西淳は、当社の創業者であり、設立時より最高経営責任者であります。同氏は、事業経営に関する豊富な経験と知識を有しており、現在においても経営方針や事業戦略等の立案及び決定を始め、取引先やその他各分野にわたる人脈等、当社グループの事業推進の中心的役割を担っており、当社における同氏への依存度は一定程度高いものとなっております。そのため、何らかの理由により同氏が当社グループの経営者として業務遂行が継続できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、同氏に過度に依存しないよう、経営幹部、並びに業務推進役の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等を進めることにより、当該リスクを回避できるように努めてまいります。

 

② 人財の確保・維持について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:小)

 当社グループが今後事業の拡大を行うにあたり、優秀な人財を獲得・育成することが重要な課題と考えております。そのため、採用活動及び研修制度、人事制度の強化に努めておりますが、業務上必要とされる人財を確保・育成できない場合や、退職者の増加等により必要な人財が維持できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、採用活動、研修制度及び人事制度の強化により、当該リスクを回避できるように努めてまいります。

 

(3) その他のリスク

① ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

 当社では、取締役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在における新株予約権による潜在株式数は1,769,700株(2026年7月1日付で実施した普通株式1株につき2株の割合の株式分割考慮後)であり、発行済株式総数の7.1%に相当しております。

 当社グループは、収益力を高め、企業価値の向上を行うことで当該リスクを回避できるように努めてまいります。

 

② 配当政策について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

 当社グループは、成長過程の途上にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大・発展を目指すため、内部留保を充実させることが必要であると考えており、これまでに配当を実施したことはなく、また、今後も当面の間は配当を実施する予定はありません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移、財務状況、今後の事業への投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針であります。

 当社グループは、収益力を高め、企業価値の向上を行うことで、株主利益の最大化を実現できるように努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2025年7月1日から2026年6月30日まで)における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢を背景とした地政学リスクの高まりに加え、世界的なインフレ圧力の持続や各国の金融政策の見直しに伴う金利・為替の変動、さらにエネルギー価格の高騰により、先行き不透明な状況が続いております。

航空業界全般、とりわけエアライン各社においては、国際線・国内線ともに旅客需要が拡大傾向にあり、事業環境は総じて改善基調で推移いたしました。一方で、中東情勢の緊迫化を背景とした燃料価格の変動リスクにより、運航計画やコスト管理面では引き続き慎重な対応が求められる状況にあります。

航空機機体の需要については、旅客需要の増加を背景に、中小型航空機を中心として拡大傾向が継続しております。エアライン各社による機体更新および拡大の動きは底堅く、航空機メーカー各社においては、高水準の受注残高を背景に生産拡大に向けた取り組みが進められております。

その結果、当社グループの主力製品であるチタンアルミ製低圧タービンブレードを搭載したLEAPエンジンを採用する中小型航空機(仏Airbus社製A320neoファミリー、米Boeing社製737MAX、及び中COMAC社製C919)の受注残高は高水準で推移しており、航空機メーカー各社は、サプライチェーンの制約といった課題に直面しながらも、安定生産および増産に向けた対応を進めております。なお、米Boeing社においては、品質問題によりFAA(米連邦航空局)から課されている生産上限の引き上げが承認され、今後の増産に向けた取り組みを進めております。

 

<LEAPエンジンが搭載される航空機の受注機数残高及び引渡機数(単位:機)>

 

受注機数残高

引渡機数

2026年6月末

2024年

1月~12月

2025年

1月~12月

2026年

1月~6月

仏Airbus社製 A320neoファミリー

7,469

602

607

271

米Boeing社製 737MAX

5,404

260

440

240

中COMAC社製 C919

931

13

15

8

 

(出所:一般財団法人日本航空機開発協会)

 

このようなLEAPエンジンの需要拡大を背景に、当連結会計年度において、当社グループが販売したチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数(チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数)は847基(前期比32.6%増)となりました。

一方、チタンアルミブレードの材料供給は、欧州企業1社のみに依存しており、当該依存度が事業上のリスクとなっておりました。当社グループは、当該リスクへの対応と、収益拡大の両立を図るため、材料供給から加工までを担う垂直統合体制の構築を目指し、数年にわたり新材料の開発に取り組んでまいりました。その成果として、新材料の量産化に目途が立ち、当連結会計年度において、仏SAFRAN社と新材料の供給並びにマーケットシェアの拡大に関する契約を締結いたしました。新材料については翌連結会計年度より量産供給を段階的に開始し、チタンアルミブレードのマーケットシェアは、2028年に現在の40%から40%台後半に拡大する予定であります。これらに対応するため、新たに取得した土地において、新材料用のラボ棟や量産用工場の建設を含む設備投資を進めるとともに、量産開発の進捗に伴う受託開発売上を計上しました。加えて、マーケットシェアの拡大に対応するため、生産能力の強化を目的とした設備投資も進めました。

新規案件に関しては、LEAPエンジンとは異なる2件の航空機エンジン部品の量産立ち上げを2024年に竣工した新工場において同時並行で取り組み、当連結会計年度中にそのうち1件の量産を開始いたしました。

さらに、当連結会計年度においては、株式会社オノプラントの全株式を取得し、同社を当社の完全子会社といたしました。同社のグループ入りにより、拡大する航空需要を確実に取り込むとともに、防衛事業への足がかりを築くことで、グループ全体としての生産能力および事業基盤の一層の拡充を進めてまいります。

一方で、これら新規案件の立ち上げや、新材料の量産開発の推進、さらには株式会社オノプラントのグループ化に伴う関連費用の発生に加え、人財採用および設備投資を含めた先行投資を継続した結果、各種費用が増加いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高5,084,657千円、営業利益1,145,382千円、経常利益1,117,905千円、親会社株主に帰属する当期純利益781,015千円となりました。

なお、株式会社オノプラントについては、当連結会計年度末において貸借対照表のみを連結しており、当連結会計年度の連結損益計算書には同社の業績を含んでおりません。

当社グループは、加工事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産の残高は、12,261,369千円となりました。流動資産は5,118,684千円となり、主な内訳は、現金及び預金が2,628,381千円、売掛金が983,040千円であります。固定資産は7,142,684千円となり、主な内訳は、有形固定資産5,952,526千円、無形固定資産920,691千円であります。なお、株式会社オノプラントの子会社化に伴い、のれんを計上しております。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債の残高は、7,467,374千円となりました。流動負債は2,204,928千円となり、主な内訳は、買掛金が229,455千円、1年内返済予定の長期借入金が388,400千円、未払金が1,254,924千円であります。未払金は、主に設備購入に伴うものであります。固定負債は5,262,446千円となり、主な内訳は、長期借入金5,022,509千円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、4,793,994千円となりました。主な内訳は、資本金568,136千円、資本剰余金1,353,958千円、利益剰余金2,887,223千円であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,628,381千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、2,959,494千円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,104,389千円、減価償却費417,302千円及び補助金の受取額1,979,100千円であり、主な減少要因は、売上債権の増加455,598千円、棚卸資産の増加86,477千円及び未収消費税等の増加257,629千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、3,217,207千円となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出2,481,676千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出709,294千円によるものであります。

有形固定資産の取得の主な要因は、LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの新材料の供給やマーケットシェア拡大に向けた各種設備投資によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1,309,225千円となりました。主な増加要因は、設備投資や運転資金の拡大に伴う長期借入れによる収入1,900,000千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出535,715千円及びリース債務の返済による支出176,104千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

加工事業

2,686,356

―

合計

2,686,356

 ―

 

(注)1.金額は、製造原価によります。

2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比は記載しておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

加工事業

5,098,994

―

744,390

―

合計

5,098,994

―

744,390

―

 

(注)1.金額は、販売価格によります。

2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比は記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

加工事業

5,084,657

―

合計

5,084,657

―

 

(注)1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比は記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2025年7月1日

 至 2026年6月30日)

販売高(千円)

割合(%)

Safran Aircraft Engines

4,934,431

97.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析は行っておりません。また、株式会社オノプラントについては、当連結会計年度末において貸借対照表のみを連結しており、連結損益計算書に同社の業績を含んでおりません。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況の分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度の売上高は5,084,657千円となりました。

当社グループの売上高は、その大半を仏SAFRAN社向けのLEAPエンジン用チタンアルミ製低圧タービンブレードの量産加工・販売が占めております。当連結会計年度は、仏Airbus社製A320neoファミリー機及び米Boeing社製737MAX機の増産を背景にLEAPエンジンの需要が拡大し、当社グループが販売したチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数は847基(前期比32.6%増)と大きく伸長いたしました。これに加え、チタンアルミブレード新材料の量産開発の進捗に伴う受託開発売上を計上したこと、並びに為替相場が円安で推移したことも売上高の増加に寄与しております。

なお、上記のとおり連結損益計算書に株式会社オノプラントの業績を含んでいないため、提出会社単体の売上高は連結と同額の5,084,657千円であり、前事業年度に比べ1,482,381千円の増収(前期比41.2%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は2,776,262千円、売上総利益は2,308,394千円となり、売上高総利益率は45.4%となりました。

 当社グループの主力製品であるチタンアルミブレードは、材料が顧客からの無償支給であることから変動費比率が低く、生産数量の増加が利益率の改善に結びつく収益構造にあります。当連結会計年度においても、生産量及び販売量の増加に加え、利益率の高い受託開発売上の計上、為替相場が円安に推移したことが、収益率の改善につながりました。一方で、LEAPエンジンとは異なる航空機エンジン部品の新規量産案件の立ち上げ、及びチタンアルミブレード新材料の量産開発に伴う人員の拡充により費用が先行しました。これらは中長期の成長に必要な先行費用であると認識しておりますが、今後の量産の本格化と歩留まりの向上により、収益性の一層の向上を図ってまいります。

 提出会社単体では、売上原価は2,776,262千円(前期比44.9%増)、売上総利益は2,308,394千円(前期比36.9%増)となり、売上高総利益率は45.4%(前事業年度46.8%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,163,012千円となり、営業利益は1,145,382千円、売上高営業利益率は22.5%となりました。

 販売費及び一般管理費の主な内容は、チタンアルミブレード新材料及びAM技術等に係る研究開発費180,839千円、事業拡大に対応した人財採用の強化に伴う人件費、並びに株式会社オノプラントの株式取得に係るアドバイザリー業務の報酬等55,200千円であります。当該株式取得関連費用は、連結上、発生した連結会計年度の費用として処理しているため、提出会社単体の販売費及び一般管理費との差額55,200千円は、その全てが当該費用によるものであります。売上高の拡大により固定費の回収が進んだことから、先行投資を継続しながらも営業利益率を高めることができたものと認識しております。

 提出会社単体では、販売費及び一般管理費は1,107,812千円(前期比7.4%増)、営業利益は1,200,582千円(前期比83.2%増)となり、売上高営業利益率は23.6%(前事業年度18.2%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は68,514千円、営業外費用は95,991千円となり、経常利益は1,117,905千円、売上高経常利益率は22.0%となりました。

 営業外収益の主な内容は、補助金収入39,520千円及び為替差益22,278千円であります。営業外費用の主な内容は、設備投資資金の調達に伴う借入金残高の増加を反映した支払利息74,926千円及び支払手数料17,659千円であります。なお、前事業年度に計上していたリファイナンスに伴うシンジケートローン手数料及び為替差損の反動により、営業外損益は改善しております。今後も成長投資の継続に伴い有利子負債が増加する見込みであることから、金利動向を含めた資金調達コストの管理は、収益性を維持するうえでの重要な課題であると認識しております。

 提出会社単体では、営業外収益は68,514千円(前期比200.3%増)、営業外費用は95,991千円(前期比14.9%減)、経常利益は1,173,105千円(前期比107.6%増)となり、売上高経常利益率は23.1%(前事業年度15.7%)となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度は、特別損失として災害による損失13,895千円を計上し、税金等調整前当期純利益は1,104,389千円となりました。

 提出会社単体では、税引前当期純利益は1,159,589千円(前期比105.6%増)となりました。

 

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は156,255千円、法人税等調整額は167,118千円となり、法人税等合計は323,374千円、税負担率は29.3%となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は781,015千円、売上高当期純利益率は15.4%、自己資本利益率は16.3%となりました。

 法人税等調整額を計上した主な要因は、継続的な課税所得の計上により税務上の繰越欠損金の解消が進んだこと等に伴い、繰延税金資産が減少したことによるものであります。

 提出会社単体では、当期純利益は836,215千円(前期比13.9%増)となり、売上高当期純利益率は16.4%(前事業年度20.4%)となりました。前事業年度は、継続的な利益の計上及び今後の利益見込みを考慮して繰延税金資産を積み増したことにより法人税等調整額を△262,256千円(△は利益)計上していたため、税引前段階の利益の伸びに比べ、当期純利益の伸びは緩やかなものとなっております。

 

② 財政状態の状況の分析・検討内容

財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

b.資金需要の主な内容

当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。主要事業であるチタンアルミブレードの生産においては、材料が顧客からの無償支給であるため、当社において材料購入に関わる運転資金負担はありません。

また、投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、チタンアルミブレード新材料の量産化、マーケットシェアの拡大及び新規量産案件に対応した設備投資によるものであります。成長の原資たる設備投資については今後も継続してまいります。

 

c.資本の財源

当社グループは、運転資金及び設備投資資金の原資につきましては、財務状況を勘案して、手許現金の使用・銀行借入・リースの利用等の中から最もふさわしい方法を採ることとしております。また、先行投資的な資金も必要となることから、事業運営上必要な資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,628,381千円であります。加えて、取引金融機関との間でコミットメント付タームローン契約及び当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末における未実行残高はそれぞれ1,900,000千円及び900,000千円であります。

当社グループは、金融機関と安定的な事業資金の確保に取り組んでおり、今後も引き続き各金融機関からの資金調達、借入コミットメントライン契約の設定、リース等様々な資金調達を検討・実施し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債や収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、売上高、営業利益、EBITDAを重要な経営指標として管理しております。売上高及び営業利益を重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、利益成長により、新規案件への投資を継続的に行うことが可能であると考えているためであります。また、当社グループは新規案件の拡大を進めておりますが、新規案件の立上時には売上規模に比べて固定費である減価償却費や人件費の割合が大きくなり、営業利益率が抑えられる傾向にあります。一方で新規案件は、中長期的な企業成長の源泉であり、当社の収益性や現金創出力をより適切に把握するために、減価償却費の影響を排除した指標であるEBITDAを重要な経営指標として管理しております。

また、これらの源泉となる指標として、販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数をKPIとして選択しております。その理由として、当社グループは、チタンアルミブレード販売への依存度が現時点においては高いことから、チタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数が、当社グループ全体の収益力に直結すると判断しているためであります。

当連結会計年度においては、LEAPエンジンの需要拡大とマーケットシェアの維持により、KPIであるエンジン基数が847基(前期比32.6%増)と伸長し、これを起点として売上高、営業利益、EBITDA1,562,684千円といずれも前事業年度(提出会社単体)を上回る水準となり、当連結会計年度は成長投資を継続しながら収益性を高めることができた年度であったと認識しております。翌連結会計年度以降は、チタンアルミブレード新材料の量産供給、マーケットシェアの拡大、並びに新規量産案件の本格稼働等により、これらの指標の一層の向上を目指してまいります。

なお、各指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2024年7月1日

 至 2025年6月30日)

当連結会計年度

(自 2025年7月1日

 至 2026年6月30日)

売上高(千円)

3,602,276

5,084,657

営業利益(千円)

655,174

1,145,382

EBITDA(千円)※1

1,038,229

1,562,684

販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン数(基)※2

639

847

 

※1 営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)

※2 チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数

 (販売されたチタンアルミブレードは全て新造エンジンに搭載されたと仮定しております)

※3 当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前事業年度は提出会社単体の数値を記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

当社グループの重要な契約は、次のとおりであります。

(1) 受注契約

相手先の名称

Safran Aircraft Engines

相手先の所在地

フランス

契約品目

LEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧タービンブレード

契約締結日

2025年11月20日(注)1

契約(供給)期間

2013年6月1日から2034年12月31日まで(注)1

契約内容

① LEAPエンジン向けチタンアルミ製低圧タービンブレードの供給契約(新材料及び加工)

② マーケットシェア(LEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミ製低圧タービンブレードの供給シェア)は原則として下記の通り

 

~2026年6月

2026年7月~

2028年1月~

加工部分

40%

40%

40%台後半

(注)2

新材料部分

-%

徐々に生産拡大し

最大40%

40%台後半

(注)2

 

③ 販売価格は、加工部分のみを供給する場合と、加工及び新材料部分を共に供給する場合で、契約期間に渡りそれぞれ設定。ただし、一定の為替レートレンジを超えた場合には変動。また、基準となる物価指数が一定以上増減した場合は販売価格に反映

④ 取引通貨は米ドル

 

(注)1.当該契約は、Safran Aircraft Engines社と2013年11月27日に締結(2021年7月9日及び2024年10月3日に一部改定)した供給契約の更新契約となります。

2.2030年12月までは新材料供給キャパシティを考慮し、マーケットシェアに関わらず上限数量を設定しております。

 

相手先の名称

グローバル大手航空機関連メーカー(注)1

相手先の所在地

海外(注)1

契約品目

商業用航空機関連部品

契約締結日

2024年10月10日

契約(供給)期間

2026年1月1日から2036年12月31日まで

契約内容

① 商業用航空機関連部品の供給契約

② 最終製品の生産に必要な契約部品の一定割合を供給

③ 取引通貨は米ドル

 

(注) 1.守秘義務契約に基づき相手先の名称、所在地は非開示といたします。(当社との間に開示すべき資本関係、人的関係はございません。また、関連当事者間取引にも該当いたしません)

 

 

(2) 資金の借入契約

 当社グループは、中長期的な財務基盤の安定化や、借入金利の低減等のため、既存のシンジケートローン等を早期返済し、新規案件の量産化に向けて2024年6月に竣工した新工場や設備への投資、並びに運転資金のための資金調達を目的として、下記の通り、新たなシンジケートローンによる資金の借入契約を2024年8月30日に締結し、2024年9月17日に実行いたしました。なお、期末借入残高につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係 及び 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 貸借対照表関係」に記載のとおりです。

 

トランシェA

トランシェB

トランシェC

(1)形態

タームローン

コミットメント期間付タームローン

タームローン

(2)金額

2,000百万円

800百万円

500百万円

合計3,300百万円

(3)契約締結日

2024年8月30日

(4)期間

10年

実行日2024年9月17日

満期日2034年9月15日

10年

実行日2024年9月17日

満期日2034年9月15日

5年

実行日2024年9月17日

満期日2029年9月18日

(5)適用利率

基準金利+スプレッド(変動金利)

(6)資金使途

リファイナンス資金、設備資金及び運転資金

(7)アレンジャー

株式会社足利銀行

(8)参加金融機関

株式会社福岡銀行、株式会社三菱UFJ銀行

(9)保証

無保証

(10)担保

不動産担保(抵当権)

(11)財務制限条項

各決算期の末日における実質自己資本金額を、次に掲げる額のうちいずれか低い額未満としないこと

①直前の決算期の末日における借入人の実質自己資本金額の70%相当額

②13.35億円

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、現在、受託加工を主たる事業としておりますが、製造業としてグローバルに成長していくため、次の研究開発にも取り組んでおります。当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は180,839千円であります。

 

(1) チタンアルミブレード用新材料開発

当社グループは、現在、仏SAFRAN社から無償支給されたチタンアルミブレードの材料であるチタンアルミ合金を、チタンアルミブレードに加工し、同社に納入しております。一方、航空機需要が拡大するなか、当該材料の生産は欧州企業1社に依存しており、供給リスクを抱えております。このような状況を踏まえ、当社グループは、当該リスクへの対応策として、また、材料供給から加工までを担う垂直統合体制の構築と収益の拡大を目指し、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で、数年にわたりチタンアルミ合金(以下「新材料」といいます。)の製造プロセスの開発に取り組んでまいりました。

新材料は、チタンやアルミ等の原料を鋳造して生産するチタンアルミ合金であり、LEAPエンジン向けの材料となります。現行の材料と比較して完成形状に近いことから、原料の使用量を抑えられ、原料コストに加えてその後の加工コストも削減することが可能となります。また、環境面においても、日本国内で材料を生産することにより、従来よりも材料の輸送距離が短縮され、サプライチェーン全体でのCO2削減が見込まれます。

これらの研究開発の結果、新材料の量産化に目途が立ち、2025年11月に仏SAFRAN社と、新材料の供給及びマーケットシェア(LEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミ製低圧タービンブレードの供給シェア)の拡大に関する契約を締結いたしました。新材料については、仏SAFRAN社とともに数年にわたり評価を実施し、LEAPエンジンに搭載可能であることを確認しております。LEAPエンジン用チタンアルミブレードにおいて、材料から加工まで一貫して量産する企業は、当社グループが世界で初めてと認識しており、この垂直統合戦略の実現により、競合他社に対する優位性を確保し、チタンアルミブレードサプライヤーとしての確固たる地位を確立できるものと考えております。

当連結会計年度においては、当社グループが保有する溶解炉を用いて量産準備に着手いたしました。開発段階から量産段階への移行期間と位置付け、試作数をさらに拡大して製造オペレーションの習熟を進めるとともに、品質の改善とコスト削減の検討を継続しております。また、当連結会計年度の大きなマイルストーンとして、仏SAFRAN社から品質保証の一環として求められている材料の成分分析を行うための試験評価施設(ラボ棟)が竣工し、同社から当該試験評価に関する国内初の認定を取得いたしました。これにより、新材料を現行の加工ラインで加工した場合の最終的な品質が良好であることを確認できたことから、量産に向けた認証の取得に向けた各種の最終確認を進めました。今後も、認証の取得とさらなる高度化に向けて、化学分析技術者の採用及び育成を計画に沿って進めてまいります。

 

(2) AM技術開発

当社グループは、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術の開発を進めております。積層造形とは、電子ビームやファイバーレーザーにより金属粉末の溶融凝固を繰り返して金属部品を製作する技術であり、従来は加工が困難であった複雑な形状の部品を造形することが可能となります。一方、高額な設備を要すること及び造形に時間がかかることが、量産に向けた課題となります。当社グループは、保有する金属積層造形設備2台を用いた研究開発を推進するとともに、積層造形による試作品の受託を行い、設計機能や当社グループが実績を有する精密加工及び非破壊検査の技術も取り込んだ新たなビジネスモデルの構築を検討しております。また、積層造形はデジタル製造や分散型製造モデルとも呼ばれ、従来のサプライチェーンや大量生産モデルとは異なる事業展開が可能になると考えられることから、積層造形とデジタル技術を組み合わせたビジネスモデルの検討も進めております。

当連結会計年度においては、従来から注力してきた鉄道車両部品へのAM適用に加え、航空機用部品への適用を見据えた試作を受託し、より付加価値の高い産業における実績を積み上げました。鉄道車両と同様に、航空機もそのライフサイクルが長いため、運用後期には補給部品のサプライチェーンの維持が課題となっており、AMはその解決手段の一つとなり得るものと考えております。加えて、中長期の人財育成の取組として当社グループが商標を登録した「AM Native®」の活動の一環である3Dプリンティングの体験イベントについて、小中学生の夏休み期間に合わせて内容を充実させました。引き続き、当社グループの航空機エンジン部品の量産経験とAM技術開発の強みを融合し、航空機産業に代表される付加価値の高い産業におけるAM適用の拡充に取り組んでまいります。

 

(3) AMを活用したMRO技術開発

航空機エンジンは、その安全性を確保するため、一定の飛行時間又は飛行回数ごとに定期的な整備・補修・オーバーホール(MRO)を行うことが求められており、エンジンに搭載される各種のタービンブレードについても、その過程で補修が必要となります。当社グループは、当該MRO市場への参入を目指し、技術開発を進めております。

当連結会計年度においては、これまでのチタンアルミブレードの補修技術開発で得た知見と、AMの受託事業を通じて得た顧客ニーズに基づき、発電用ガスタービン及び航空機エンジンにおいて修理需要の高い部品及び材料の特定を進めました。あわせて、一部の材料について要素実験に取り組み、AMによる修理の初期段階の実現可能性を検証いたしました。また、社内の量産工程で使用する治工具について、AMによる補修と強度の向上を狙い、研究機関と連携して技術開発を行い、要素実験の結果を踏まえ、実機への適用に向けた段階へ移行することといたしました。航空分野では、エアライン、航空機リース会社及びエンジンOEMに対してMRO市場のニーズ調査を進め、事業参入の立案に資するネットワークの構築と情報収集を加速させております。MRO事業は、その市場規模と成熟度から海外での事業運営も視野に入れる必要があるため、これらの活動はグローバルに展開しております。AMの用途は欧米を中心に世界的に拡大しており、最新技術をベンチマークしながら、海外との連携もさらに加速してまいります。これらの成果の一部を学会誌等に寄稿するなど、当社グループの技術力の発信も継続しております。引き続き、AMを活用した補修技術の確立と市場展開に向けて、研究開発活動を進めてまいります。