第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは以下の経営理念のもとに、事業を展開しております。

<Purpose(トライアルグループの存在目的)>

世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。

<Vision(5~10年で実現したい自社と世界の姿)>

テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。

<Value(ビジョン実現のための組織の価値観・行動指針)>

・効率化された店舗網で、モノを流通させる力

・データとIoTを駆使する力

 

流通小売業界には、食品の廃棄や欠品などによるムダや在庫・物流が最適化されていないことによるムラ、商慣習として古くから存在するリベート等のムリなど、サプライチェーンにおける各種工程の中に『ムダ・ムラ・ムリ』が多く存在すると考えております。当社グループはこの『ムダ・ムラ・ムリ』の削減を推進し、お客様への新しいお買い物体験の提供、メーカーや卸、物流、小売企業等と協業したサプライチェーン改革・マーケティング改革の推進、テクノロジーを活用したオペレーションの効率化などに取り組むことで、当社グループのパーパスの実現を目指しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長、収益性及び資本効率の向上並びに財務健全性の確保を経営上の重要な目標としております。その達成状況を判断するため、連結売上高、営業利益及びEBITDAを主要な経営指標とするとともに、資本効率を測る指標としてROE、財務健全性を測る指標として純有利子負債/EBITDA倍率及び自己資本比率を重視しております。
(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、流通小売事業を中核として、実店舗の運営を通じて蓄積する購買データや店舗オペレーションに関する知見と、リテールAI事業におけるテクノロジー及びデータ活用のノウハウを組み合わせることで、お客様の買い物体験の向上と店舗運営の効率化を図るとともに、流通小売業界全体の生産性向上に取り組んでおります。

 2025年7月1日付で西友を完全子会社化したことにより、当社グループの店舗網及び顧客基盤は大きく拡大しました。当社グループは、トライアルと西友がそれぞれ培ってきた商品、店舗運営、物流・製造基盤、人材、ブランド及び顧客基盤等の経営資源を融合するとともに、当社グループが有するテクノロジー及びデータ活用のノウハウをグループ全体に展開することで、収益性及び生産性の向上を図ってまいります。

 また、2026年2月に策定した中期経営計画において、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現に向けた「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけております。流通小売事業とリテールAI事業の連携を一層強化するとともに、西友との融合によるシナジーの創出、既存事業の収益力向上及び財務基盤の強化を進め、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

各事業における重要な戦略は以下のとおりです。

<流通小売事業>

①「食」及びPB商品の強化によるお客様支持の拡大

 当社グループは、生鮮食品や惣菜を中心とする「食」を店舗への集客及びお客様支持を支える重要な商品カテゴリーと位置づけ、商品力及び価格競争力の強化に取り組んでおります。

 トライアルで培ってきた生鮮食品・惣菜の商品開発力や店舗運営ノウハウと、西友が有する商品・ブランド及び都市部を中心とした顧客基盤を活用し、両社の商品及びノウハウの相互展開を進めております。また、「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等のPB商品の相互販売、共同開発及び商品体系の最適化を進め、商品力の向上と収益性の改善を図ってまいります。

 さらに、プロセスセンター及びセントラルキッチン等の製造・加工拠点を活用し、商品開発・製造から物流、店舗での販売までのサプライチェーンを効率化することで、品質と価格競争力の両立を図ってまいります。

 

②多様な店舗フォーマットを活用した店舗網の拡大及び既存店の成長

 当社グループは、地域の人口動態、商圏特性、店舗立地及び顧客ニーズ等に応じて、スーパーセンター、smart、TRIAL GO、スーパーマーケット、ハイパーマーケット及び「トライアル西友」等の多様な店舗フォーマットを展開しております。

 新規出店に加え、既存店舗の改装や業態転換を推進することで、店舗ごとの競争力及び収益性を高めてまいります。また、特定地域に複数の店舗フォーマットを展開するドミナント戦略を推進し、大型店舗等を商品供給拠点として周辺の小型店舗へ商品を供給するなど、店舗網と物流網を一体的に活用することで、効率的な店舗展開を進めてまいります。

 西友については、既存店舗の商品・売場・オペレーションの改善を進めるとともに、トライアルと西友双方の強みを取り入れた「トライアル西友」への業態転換等を通じ、お客様支持の拡大及び店舗収益力の向上を図ってまいります。

 

③データ及びテクノロジーを活用した店舗運営の高度化

 当社グループは、実店舗で蓄積される購買データや店舗運営に関する知見を活用し、商品構成、棚割り、価格設定、発注、在庫管理及び販売促進等の店舗運営の高度化に取り組んでおります。

 Skip Cart、インストアサイネージ、各種業務システム等のテクノロジーを活用し、お客様の利便性向上と店舗オペレーションの効率化を進めるとともに、データ分析を活用したカテゴリマネジメントの高度化や、お客様一人ひとりのニーズに応じた商品・サービスの提供を推進してまいります。

 今後は、これらのテクノロジー及びデータ活用の仕組みを西友を含むグループ各社へ順次展開することで、グループ全体の生産性及び収益性の向上を図ってまいります。

 

<リテールAI事業>

①流通小売の現場を起点としたプロダクト及びソリューションの開発

 リテールAI事業では、小売事業者や食品・消費財メーカー等に対し、お客様の買い物体験の向上、店舗オペレーションの効率化、広告・販売促進活動の高度化及びサプライチェーンの効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。

 当社グループは、自ら実店舗を運営することで把握した現場の課題やニーズを開発に反映し、開発したプロダクトやソリューションを実店舗において検証・改善できることを特徴としております。この「オペレーション・ドリブン」の考え方のもと、流通小売事業と連携しながら、Skip Cart、MD-Link、カメラソリューション、インストアサイネージ等の機能向上及び導入拡大を進めてまいります。

 また、西友のグループ入りによる店舗網及び顧客接点の拡大を活かし、多様な立地・店舗フォーマットにおいてプロダクトやソリューションの検証及び展開を進めることで、開発力及び提供価値の向上を図ってまいります。

 

②データ活用の高度化及びグループ外への事業展開

 流通小売業界では、メーカー、卸、物流事業者及び小売事業者等の各事業者が保有する情報やデータが分断されていることなどにより、サプライチェーンやマーケティング活動に非効率が存在していると当社グループは認識しております。

 当社グループは、商品データ、購買データ、会員データ及び店舗内で取得されるデータ等を活用・分析することで、需要予測、商品構成、在庫・物流、販売促進及び広告等の高度化を図り、流通小売業界における「ムダ・ムラ・ムリ」の削減を目指しております。

 これらの取り組みをグループ内で実践するとともに、そこで得られた知見やプロダクト、ソリューションをグループ外の小売事業者や食品・消費財メーカー等へ提供することで、リテールAI事業の収益基盤の拡大を図ってまいります。

 

(4)経営環境

 今後の当社グループを取り巻く経営環境は、国内における人口減少と少子高齢化の加速に伴い、より厳しさを増していくものと考えております。内閣府の令和8年版高齢社会白書によると、国内人口は2055年には約1億人まで減少し、生産年齢人口比率も50%に近づいていくと予測されております。国内全体における消費の拡大が見込まれない中で、当社グループが主力で取り扱う「食」や「日用生活消耗品」の消費は一定の規模を維持し、顧客属性や地域に応じた嗜好の細分化がより一層進んでいくものと認識しております。

 小売業界においては、お客様の購買行動の変化への対応、働き手の確保、データ活用などの業界課題によって、従来型のビジネスモデルからの変革が強く求められております。また、国内外における金利上昇や為替の変動、商品の仕入価格の上昇、エネルギー価格の高騰などによるコスト上昇が企業業績に与える影響も深刻であり、それらを吸収し、収益を確保できる企業の選別が一層進んでいくものと思われます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、流通小売事業においては、全国に店舗網を拡大するとともに、生鮮を中心とした「食」の強化や、店舗改装などによって店舗の集客力及び収益性を高めてまいります。また、リテールAI事業においては、プロダクトやソリューションの新規開発や既存プロダクトの機能改善により、小売企業、食品・消費財メーカー、ベンダー等への更なる提供価値の向上に努めてまいります。エネルギー価格や人件費の上昇による物価高に起因して消費者の節約志向が高まるなど、厳しい経営環境が続く状況にありますが、中長期的な成長を見据えた事業基盤を築いてまいります。

 

 当社グループは、2025年7月1日付の西友の完全子会社化により、事業規模及び事業基盤が大きく拡大しました。一方、両社の経営資源の融合、グループシナジーの早期実現、既存事業の収益力向上、財務健全性の確保及び拡大した企業集団に対応する経営管理体制の構築が、重要な経営課題となっております。

 こうした認識のもと、当社グループは、2026年2月に中期経営計画を策定し、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現のための「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけています。

 2029年6月期における定量目標として、売上高1.6兆円、EBITDA 1,000億円、営業利益640億円を掲げております。シナジーを軸としたキャッシュ創出力を向上させることで、財務健全性を高めるとともに、2030年6月期以降の飛躍的な成長に向けた、強固な土台づくりに取り組んでまいります。

 これらを達成するため、当社グループは以下の5点を重点戦略として設定し、優先的に対処してまいります。

 

① PMI推進によるグループシナジー最大化

西友との統合プロセスを迅速かつ着実に実行し、グループ全体の収益性と生産性の向上を図ってまいります。

・仕入れ・調達の最適化:仕入れ条件の統一及び帳合統合を進め、粗利押し上げ効果を創出いたします。
・PB強化とカテゴリマネジメントの高度化:「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等の両社ブランドの再編・相互販売・共同開発を推進し、グループ全体のPB売上高構成比25%を目指します。併せて、AIやデータ分析による棚効率改善、プロセスセンターやセントラルキッチンの運用一体化を進めてまいります。
・システム統合の推進:西友の基幹システムをトライアルのシステムへ統合・一本化し、開発・運用・保守コストの削減を図ってまいります。

 

② トライアルの収益性向上と成長の推進

高収益モデルの磨き上げと戦略的な店舗展開により、持続的な成長を牽引してまいります。
・出店戦略の加速:独自の商圏分析ツール「Retail Map」を活用した精度の高い出店により、主力のスーパーセンターを3年間で35店舗出店するほか、小型店フォーマット「TRIAL GO」の多店舗展開(3年間で100店舗)を進めてまいります。
・既存店売上高の継続的成長:積極的な店舗改装(3年間で累計45店舗)や「食」・PB商品の強化(惣菜売上構成比8%目標)を実施いたします。
・デジタルを活用した購買体験の向上:プライシングの精緻化に加え、Skip Cartやインストアサイネージ、会員アプリ等をフル活用した個客最適のアプローチを行い、「価格訴求」と「価値訴求」の両立を実現いたします。

 

③ 西友の店舗改革とお客様支持の拡大

西友における抜本的な店舗改革を断行し、トップラインの伸長と圧倒的な顧客支持を獲得してまいります。
・売場づくりと改装の横展開:成功モデル店舗のノウハウを全店へ横展開し、店舗の底上げを図るとともに、スーパーマーケット60店舗の戦略的改装を実施いたします。

・新業態「トライアル西友」への展開:大型店(ハイパーマーケット)30店舗を、価格競争力を強みとする生鮮繁盛店モデル「トライアル西友」へと業態転換いたします。
・販管費率の低減:攻めの価格投資により一時的に売上総利益率は低下するものの、売上高の拡大による固定費の吸収とシステム統合等の効果により、大幅な販管費率の低減と増益体制を構築してまいります。

 

④ DX戦略の収益化フェーズへの移行

これまで構築してきたDX基盤を本格的な収益化へと移行させ、グループ全体の成長を後押ししてまいります。

・データとAIの全社活用:基幹システムの統合に合わせ、西友も含めたグループ全社でデータ及びAIの活用を推進いたします。

・新規事業基盤の構築:リテールメディアやECの事業基盤づくりを具体的に進め、将来の売上高・利益拡大に寄与する体制を確立してまいります。
 
⑤ 持続的な成長を支える経営基盤の強化

成長投資と財務健全性のバランスを高度に両立させ、企業価値の最大化を図ってまいります。

・サステナビリティ経営の推進:当社グループのパーパスである『世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。』のもと、当社グループ及び社会全体の発展・成長に取り組んでまいります。リアル店舗の運営を軸に、リテールDXの推進や、多様なパートナーとの連携を通じて持続可能な社会の実現を目指してまいります。

・適切なキャッシュアロケーション:営業活動から創出されるキャッシュを主財源として、成長投資(新店出店・業態転換・店舗改装等)へ1,300億円を優先配分いたします。

・財務基盤の正常化:西友の完全子会社化に伴う有利子負債の圧縮(3年間で1,150億円の返済)を規律をもって実行し、2029年6月期における「純有利子負債/EBITDA倍率3倍以内」「自己資本比率20%以上」の達成を目指します。

・人的資本・パートナーシップ・株主還元:人的資本の強化や業界変革につながる外部パートナーシップの構築を進めるほか、機動的なM&Aも検討してまいります。また、株主の皆様へは「累進配当」の方針に基づき、安定的かつ継続的な還元を行ってまいります。

 

当社グループは、これらの重点戦略を全社一丸となって推進し、次世代スマートストアの成功モデルを確立・横展開することで、世界をリードする「流通プラットフォーマー」への飛躍を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティの基本方針

 当社グループは創業以来、「流通小売業界のムダ・ムラ・ムリを削減し、ローコストを実現することで、お客様・社会の役に立つ」ことを企業経営の根幹(DNA)として受け継いできており、事業活動を通じて実践してまいりました。

 2021年には、創業以来のDNAを継承するかたちで、パーパスとして『世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。』、ビジョンとして「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」を策定しております。

 当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決と持続的な企業価値の向上は相互に関係するものであると考えております。創業以来培ってきたDNAのもと、パーパス・ビジョンの実現に向け、当社グループのみならず、企業の垣根を越えた協業を通じて流通小売業界全体の変革に取り組み、当社グループの持続的な発展・成長と、社会全体の発展・成長の双方の価値を最大化していくことを、サステナビリティの基本方針としております。

 

(2)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを中長期的な企業価値の向上に関わる重要な経営課題と位置づけております。人的資本、地域社会との共生、環境負荷の低減等のサステナビリティに関する事項のうち、重要な事項については、マネジメントカンファレンスにおいて審議するとともに、その重要性に応じて取締役会に報告又は付議しております。

 人的資本については、グループ横断のDEIB(Diversity, Equity, Inclusion & Belonging)推進委員会を設置し、グループ各社における方針の策定、施策の推進及び進捗状況のモニタリングを行っております。取締役会は、これらの報告等を通じて、当社グループのサステナビリティに関する重要な取り組みの状況を監督しております。

 詳細は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関連するリスク及び機会を、中長期的な企業価値に影響を及ぼす重要な経営課題として認識しております。

 このうち、サステナビリティ課題を含む全社的なリスクにつきましては、「グループリスク管理規程」に基づき、グループリスクコンプライアンス委員会においてリスクの把握、評価及び対応状況の確認を行い、その状況を取締役会に報告しております。取締役会は、当該報告等を踏まえ、当社グループ全体のリスク管理の状況を監督しております。

 具体的なリスクの内容は「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)戦略

<人的資本>

当社グループにおける人材戦略に関する基本方針等は、「第4提出会社の状況 5従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本方針等」に記載のとおりであります。

①人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、従業員一人ひとりの自律的な成長と持続的な挑戦こそがイノベーションの源泉であり、個の能力開花と成長がグループ全体の競争力を押し上げる原動力になるという認識のもと、人材投資を推進しております。

人材育成においては、従業員それぞれの役割、専門性及びキャリアに応じた能力開発に加え、将来の事業成長を担う管理職候補人材、次世代経営人材及び各領域の専門人材の計画的な育成に取り組んでおります。また、性別、年齢、国籍、採用経路その他の属性にかかわらず、能力、経験及び実績等に基づき、公平な育成・配置・登用の機会を提供することを基本としております。

 

社内環境整備については、従業員の声を企業活動に活かし、多様な人材が安心して長く働き続け、その能力を十分に発揮できる職場環境の整備に取り組んでおります。定期的な従業員エンゲージメントサーベイを通じて組織上の課題を可視化し、各種施策の改善につなげるとともに、ライフステージ(育児・介護等)の変化に直面した従業員がキャリア形成を諦めることなく自律的な働き方を選択できるよう、多様なサポート制度の拡充を進めております。さらに、誰もが自分らしく安心して挑戦し、その能力を最大限に高めていける組織風土の形成に向け、各種啓発・教育活動を推進しております。

 

多様な人材の育成と活躍に向け、主に以下の施策を推進しております。

・管理職を対象としたインクルーシブ・マネジメント研修(DEIBの浸透)の実施

・性別等の属性によらない公平な機会付与・配置・登用の仕組みの整備

・女性の採用強化と、管理職候補人材の計画的な育成

・育児・介護等との両立支援制度の拡充と、男性従業員の育児休業取得の推進

・グループイントラサイトにDEIBのサイトを設置し、制度・方針・取り組みを周知

・人事データ基盤の整備による多様性関連指標の継続的なモニタリング

 

 

(5)指標及び目標

 

<人的資本>

当社グループは、上記の人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき、人的資本に関する取り組みの進捗及び実効性を把握するため、以下の指標等を継続的にモニタリングしております。

①女性の管理職への登用

当社グループの正社員に占める女性の割合は21.8%(2026年6月末時点・グループ計)、女性管理職比率は9.4%(同時点)となっております。女性管理職比率の向上を人的資本における重要課題と位置づけ、目標として、2030年6月期末までにグループの女性管理職比率30%を掲げ、管理職候補層の計画的な育成を通じた人材パイプラインの形成、公平な配置・登用の仕組みづくり、仕事と育児等との両立支援制度の拡充と利用しやすい職場環境の整備に取り組んでおります。進捗については、人事データ基盤により定期的に把握し、DEIB推進委員会でモニタリングしております。

 

②外国人の管理職への登用

当社グループは、国籍を問わず能力と意欲に基づく採用・評価・登用を行っており、外国籍従業員に対しても日本人従業員と同一の登用基準を適用しております。現時点で外国人の管理職登用に関する数値目標は設定しておりませんが、登用状況のモニタリングを継続し、必要に応じて目標設定を検討してまいります。

 

③中途採用者の管理職への登用

流通小売業とテクノロジーの融合を推進する当社グループにおいて、社外で培われた専門性・経験を持つ中途採用者は重要な人的資源であると考えております。採用経路による処遇・登用の差は設けておらず、能力、経験及び実績等に基づく公平な評価及び登用を行っております。また、パート・アルバイト従業員についても、本人の意欲や能力等に応じた正社員登用・管理職登用を行うなど、多様なキャリア形成の機会を提供しております。

 

④従業員エンゲージメントサーベイ

当社グループは、従業員一人ひとりが経営理念や事業の方向性を理解・共感し、自らの役割に意義を感じながら主体的に能力を発揮できる組織づくりが、持続的な企業価値の向上に重要であると考えております。

この考え方に基づき、従業員エンゲージメントを人的資本に関する重要な指標の一つと位置づけ、経営理念への共感度、仕事への満足度、社内風土や組織の状態、人事制度に対する理解・満足度等を把握するため、年2回、従業員エンゲージメントサーベイを実施しております。サーベイ結果として把握した従業員エンゲージメントスコアについては、会社別・組織別に分析し、組織上の課題の把握や改善施策の検討に活用するとともに、その推移を継続的にモニタリングし、従業員エンゲージメントの向上につなげてまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりです。当社グループの事業は、「流通小売事業」、「リテールAI事業」及び「その他事業」の3つの事業セグメントで構成されております。「中核事業である流通小売事業セグメント及び当社グループ共通のリスク」のほか、事業領域ごとに想定されるリスクをセグメント別に記載しております。

 また、当社グループは、当社グループでコントロールできない外部要因や、事業上のリスクとして具体化する可能性が必ずしも高くないとみられる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については積極的に開示することとしておりますが、これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<中核事業である流通小売事業セグメント及び当社グループ共通のリスク>

(1)店舗拡大及び店舗改装を含む事業規模の拡大と人材確保及び労働環境の変化

 当社グループは、成長戦略として、重点地域におけるドミナント戦略及び未出店地域への出店強化や既存店舗の改装を通じた事業規模の拡大を進めてまいりますが、同業他社及び他業種との競合が激化した場合や戦略に合致する店舗用地の確保が困難となった場合、その他不動産価格や建築コスト、資金調達コスト等の上昇、国内景気及び個人消費の減退等、当社グループを取り巻く経済条件に変化が生じた場合、出店及び改装のペースが減速し、新規出店店舗及び改装店舗に係る売上又は利益が想定を下回る可能性があります。

 また、当社グループでは、パート社員であるアソシエイト職を含めた積極的な人材採用を進め、並行して新入社員からマネジメント職まで様々な研修プログラムを実施しております。しかしながら、労働人口減少に伴う人材確保競争の激化により店舗数の拡大ペースに対応した人材の確保・育成が予定どおりに進まない場合や労働需給の逼迫等によって時間給単価が上昇した場合、想定を上回る費用が発生したり、店舗の出店や改装のペースが鈍化する可能性があります。

 これらの要因によって、当社グループの成長戦略が想定どおりに実行できなかった場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)感染症の流行による影響

 社会の経済活動に重大な影響を及ぼす規模で感染症の流行が発生又は拡大し、当社グループの店舗やプロセスセンター、取引先、仕入先、宿泊施設等において感染症の蔓延が生じた場合や感染拡大防止のために経済活動の制限が行われた場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)消費者需要、天候及び季節性等事業を取り巻く外部環境

 景気動向・消費動向等の経済情勢、消費者需要の変化、天候の変化及び季節性による需要の偏りといった不可避的な要因が当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 天候及び季節性のリスクとして、当社グループの店舗・施設の周辺地域において大地震や台風、津波等の自然災害、火災或いは予期せぬ事故等が発生した場合、店舗・施設への物理的な損害、その他当社グループの供給業者又は仕入・流通ネットワークに影響を及ぼす可能性があります。このような事象に備え、当社グループにおいては、不測の事態が生じた際の社内における迅速な情報共有と管理体制を構築し、適時適切に事態を収束させることができる体制を整えておりますが、想定を上回る事象の発生により当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合や、人的又は物的な被害があった場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、流通小売業界は、国内外の景気動向、消費動向、物価動向、燃料・エネルギー価格の動向、為替動向等の経済情勢、消費者需要の変化により大きな影響を受けます。こういった変化に対し、当社は適時適切な価格戦略、在庫管理、販売力強化によりその影響を限定するよう努めておりますが、こうした外部要因の急激な変動等が生じ、これに対する十分な対応ができなかった場合、既存店の売上や収益性、新規出店・改装計画等に支障をきたし、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)仕入価格及び原油・原材料価格等の上昇

 当社グループの流通小売事業ではプライベート・ブランド(PB)商品及び惣菜製造等で一部原材料の仕入をしております。それら仕入価格は、気温上昇や天候による需給の変化等により影響を受ける可能性があるほか、一部の原材料は海外子会社を通じて外貨で仕入れるため、為替変動による影響を受ける可能性があります。当社グループでは、特定の取引先や地域に依存することのないよう仕入の分散化を図っておりますが、想定外の異常気象等により原材料の仕入価格が高騰した場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、原油・原材料価格等の高騰により、流通小売事業において、包装資材として使用しているレジ袋やトレー、フィルム等石油製品の仕入価格も上昇します。加えてエネルギー価格の上昇から各店舗で発生する水道光熱費の上昇や物流面におけるガソリン等の価格上昇の影響を受けることから、原油価格等の高騰は店舗運営コスト及び物流コスト増の要因となります。さらに、宅配の増加に伴い、トラックドライバーの需要が近年増加している一方で、その担い手の減少が見込まれることやトラックドライバーの労働環境改善などの社会的要請により、トラックドライバーの人件費の上昇を受けて、物流コストが増加する可能性があります。これらの外部環境による価格変動を顧客への販売価格に適切な程度及び時期において転嫁できない場合や、顧客への価格転嫁により当社グループの競争力が低下する場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法律等による規制

 店舗の出店においては大規模小売店舗立地法、商品の販売においては景品表示法、食品表示法及び食品衛生法、商品の仕入れにおいては中小受託取引適正化法や物流効率化法、環境に関するリサイクル関連法等の様々な法的規制を受けております。また、当社グループは中国や韓国において関係会社を保有しておりますが、海外においては現地法令の適用を受けるほか、政治・経済・文化・宗教・習慣や為替等の様々な影響を考慮する必要があります。当社グループでは法規制の遵守に努め、許認可の取得又は更新を遅滞なく実施できる体制整備に努めておりますが、法令の改正や解釈の厳格化により主要な事業の遂行が制限される可能性があるほか、法規制の遵守に想定外のコストが必要となる可能性があります。また、当社グループが法令等に違反した場合、課徴金等のペナルティに加えて、当社グループの社会的信用が失墜するなど、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)個人情報保護法

 当社グループは、流通小売事業をはじめ当社グループにおいて営む各事業のお客様の個人情報を数多く保有・管理しております。これらの情報の管理については、「個人情報保護規程」を定め漏洩が生じないよう最大限の対策を講じ細心の注意を払っておりますが、不測の事態により、万一、外部漏洩等が発生した場合は、当該個人への賠償や当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報セキュリティ・システムトラブル

 当社グループは、情報やコンピューター及びネットワーク等の情報システム(以下「情報資産」といいます。)を「ヒト・モノ・カネ」に続く第4の資産として位置付けております。情報資産を重要な資産とし保護するため、「情報セキュリティポリシー」を定め情報セキュリティ委員会において継続的にリスク分析・評価を行い管理しております。

 しかしながら、想定外の自然災害や事故等により設備が甚大な損害を被った場合や、当社グループや当社グループの取引先へのコンピュータウィルスの不正侵入、サイバーアタック、従業員の過誤によるシステム障害等が発生した場合、社会的信用が毀損する等して、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループでは、業務効率化や新たな顧客価値の創出を目的として、生成AIをはじめとするAI技術の活用を拡大しております。AIの活用にあたっては、学習データやプロンプトへの入力を通じた個人情報・機密情報等の漏えい、AIが生成する情報の不正確性やバイアスに起因する誤った意思決定・顧客対応、第三者の知的財産権侵害等のリスクが想定されます。当社グループでは、AI利用に関する社内ガイドラインの策定及びデータの取得・管理・利活用に関するデータガバナンス体制の整備を進めておりますが、AI関連技術の急速な進展や国内外における関連法規制・ガイドラインの変化に対して十分な対応が図れない場合や、想定外のインシデントが発生した場合には、社会的信用の毀損、損害賠償責任の発生等により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)訴訟及びレピュテーションリスク

 当社グループは、法令を遵守した事業活動を行っており、グループリスクコンプライアンス委員会を組織するなど社内においても法令遵守の意識向上を図っておりますが、通常の業務遂行において、従業員による法令違反や不適正行為、契約を巡る紛争や労働紛争、損害賠償等、第三者からの訴訟その他法的手段の提起等、様々な法的手続きに服するリスクを有しております。長期的かつ多額な費用を要する訴訟や社会的影響の大きい訴訟等が発生した場合、金銭的な負担に加え、企業イメージの悪化等、社会的なレピュテーションの低下により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)固定資産の減損

 当社グループは、事業の用に供する設備や不動産をはじめとする様々な固定資産を保有しております。保有資産の将来キャッシュ・フローの減少などにより、減損損失の認識及び測定を実施した結果、固定資産の減損損失の計上が必要となった場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)食品・商品の安全性・衛生管理

 当社グループは、生鮮食品や惣菜をはじめとした食品を強みとして、お客様の多様なニーズにお応えするため生鮮食品から加工食品、日配食品まで幅広い商品を取り扱っており、「商品品質衛生管理規程」を定め当社流通小売事業における品質管理部門を中心に管理体制を構築しております。各店舗やセントラルキッチンにおいては規程の遵守状況について、食品衛生法及び食品表示法、HACCP、品質マネジメント認証に基づいた衛生管理がなされているかの定期的な点検を実施し、品質管理部においてはその実施状況の確認及び指導を行っております。また、内部監査室の店舗監査においては、そのサイクルと有効性を評価しております。さらに、外部機関による食品衛生法の遵守状況についての定期検査を受けるなど、安全性及び衛生管理の徹底を図っているほか、店舗や製造部門の従業員には衛生管理及びコンプライアンスに関する研修制度を設け社内独自の資格試験の受験を義務化する等安心・安全・適正にお客様へ提供するために様々な取組みを進めております。しかしながら、万一、食中毒や異物混入、原産地やアレルギー表記等の誤りなど、不適切な食品・商品の提供や表示がなされた場合や、食品・商品に関してSNS等における不適切な情報拡散がなされた場合には、当局による処分や措置の対象となり、また、販売自粛や商品回収、表示の是正等の措置や再発防止策の実施等に関して、多額のコストが発生する可能性があるほか、当社グループの商品に対する信頼の低下等につながるおそれがあります。当社グループでは、記載のとおり各部門の相互確認による管理体制及び社員教育体制によって最大限の品質管理を行っておりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)競合による影響

 当社グループは流通小売業を基幹事業として営んでいますが、日本国内においては少子高齢化等によるマーケットの縮小が見込まれる一方で、同業他社のほか、競合業態であるスーパーマーケット、GMS、ドラッグストア等との間で激しい競争に晒されております。このような競争環境の下、当社グループでは、IT・AIにより顧客の購買動向の把握や分析等を推し進めるとともに、ローコストオペレーション・商品力強化により高い価格競争力を有することで、競合他社との差別化を図っております。しかしながら、競合他社によるディスカウント業態の多店舗展開や業種・業態をこえた競争が激化する場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)M&Aによる事業拡大について

 当社グループは、事業規模の拡大及び事業領域の多角化を実現する手段の一つとして、M&Aを実施する可能性があります。しかしながら、その実施には多額の資金を必要とする場合があり、一時的に財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があるほか、実施後の事業の展開が計画どおりに進まない場合や、想定以上の支出を要する場合等には、それらの投融資活動により想定した効果を得られない可能性があります。

 対象企業の選定にあたっては、国内外を問わず、対象企業の財務内容、契約関係、事業内容等について詳細なデューディリジェンス(投資案件評価)を実施し、リスクの低減に努めておりますが、M&Aの実施後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、その他買収前に想定し得なかった事象が判明した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)有利子負債について

 当社グループは、M&A資金として金融機関より多額の借入を実施いたしました。今後、市場金利が大幅に上昇した場合、借入金に係る金利のうち、変動金利部分については、利息負担の増加により業績に影響を与える可能性があります。また、金融機関との間で締結している借入金の一部には財務制限条項が定められており、万一、当社グループの業績が悪化し、当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、当社グループの事業、財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)のれんの減損

 当社グループは、2025年7月の株式会社西友の全株式取得に伴い、多額ののれんを計上しており、総資産に占める当該のれんの割合が高くなっております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映していると判断しておりますが、収益力が低下した場合には減損損失を計上することとなります。

 今後、シナジーの最大化に向けて各種施策を実施し、収益力の向上に努めてまいります。しかしながら、これらの施策や統合プロセスが想定どおりに進まず、当該のれんに係る減損損失を計上する場合は、当社グループの事業、財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)当社株式の流動性について

 当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当連結会計年度末時点において26.4%であります。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、大株主及び役員への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)大株主との関係

 当連結会計年度末現在、当社株式の大部分は、創業者かつ当社会長である永田久男並びに永田久男及びその親族の資産管理会社である株式会社ティー・エイチ・シー及び株式会社Heroic investmentにより保有されております。

 かかる大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼすなど、当社グループの事業、財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<リテールAI事業に関するリスク>

(1)先行投資の発生及び損失の継続計上

 当社グループは、リテールAI事業への先行投資を行っており、リテールAI事業では2024年6月期まで連続したセグメント損失を計上しておりました。これは、新規のプロダクト開発や既存プロダクトの改良のための開発投資や人件費、有形固定資産の取得等によるものです。一方で、流通小売事業においては、安定的に営業活動におけるキャッシュ・フローのプラスを計上しております。経営戦略上も、流通小売事業の売上高や収益性が継続的に成長・改善していく中で、リテールAI事業への積極的な投資を行っていくことを前提としております。

 しかしながら、リテールAI事業においては、様々な実証実験の実施や新規事業の開発を行っておりますが、計画どおりにプロダクト化や開発が進捗する保証はなく、また、既存又は開発予定のプロダクトの普及・展開においても計画どおりに進捗する保証はありません。また、これらのプロダクト開発に必要なエンジニア等を確保できる保証もありません。さらに、リテールテック市場は技術革新が著しいことから、今後リテールAI事業の成長のための先行投資が想定以上に発生する可能性もあります。これらの要因その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、想定していた事業計画を達成できなかった場合、リテールAI事業において安定した収益を得ることができず、投資した資金が回収できない等、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)法律による規制

 当社グループは、リテールAI事業において、精密機械の製造やDXソリューションサービスを提供する事業を行っているため、電波法や個人情報保護法など、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、法務担当部署が中心となり、法令遵守状況の確認や法令改正時の事業への影響度の見積りなどを行っております。

 しかしながら、将来において、当社グループが提供するプロダクト及びソリューションが法的規制に抵触する可能性を完全に否定することはできず、また、今後の法改正や法的解釈の変更等により、当社グループのプロダクト及びソリューションの提供が困難になるような場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)ハードウエアやソフトウエアの不具合

 当社グループは、リテールAI事業において、IoTデバイスを小売店舗に導入することによるソリューションの提供やデータの取得を行っております。ハードウエア、ソフトウエアともに品質管理体制を確立し、プロダクトやソリューションの提供を実施する中で、改善・改良を図るなど、製品の安全性確保やサービスの不具合の未然防止に努めております。

 しかしながら、これらの不具合を将来に渡って完全に防止することは不可能であり、万一、大規模な製品の欠陥が生じたり、それに起因する損害が発生したりした場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(4)競合について

 当社グループは、リテールAI事業において、「オペレーション・ドリブン」を軸に置いて営業活動を行っており、導入・運用実績の観点でも世界トップレベルであると認識しております。一方で、リテールテック市場では国内外に多数の競合他社が存在します。今後リテールテック市場の成長に伴い、既存事業者との競争激化や、別業界から当該市場への事業者の新規参入等によって、競合他社に比して当社のプロダクトやソリューションの技術レベルや価格が劣後するような場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)世界情勢、サプライチェーンに関するリスク

 当社グループは、リテールAI事業において、Skip CartをはじめとしたIoTデバイスの仕入を中国から行っております。国内外における重大な感染症によるサプライチェーンへの影響や米中の貿易摩擦、日中の政治・外交問題等が発生した場合、又はそれらの仕入先との関係が悪化した場合等には、IoTデバイスの調達が滞ることや取引機会が縮小する可能性があります。また、世界的な半導体需要の逼迫等により、協力工場からの安定した製品や部品の調達が困難となる可能性もあります。

 当社グループは、将来的な導入計画を見据え、協力工場との長期的関係の構築に努めるとともに、調達ルートの複数化などのリスクヘッジを検討しておりますが、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)知的財産権の管理について

 当社グループは、関連法規に則り当社グループの活動が他社の著作権、特許権等の知的財産権を侵害すること、また、社内において業務で使用するソフトウエア等が他社の権利を侵害することがないよう、社内にて調査確認を行うことでその防止に努めており、判断が困難な場合には弁理士及び顧問弁護士の意見を聴取する体制をとっております。また、当社グループの事業運営上重要な技術等に関しては、特許申請を行うなど、自社の保有する知的財産権の保護に努めております。

 しかしながら、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であるため、意図せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受けたり、知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生したりする可能性があり、これらの場合には当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有している知的財産権が第三者により侵害された場合にも、リテールテックを活用した当社グループのビジネスモデルの優位性が失われてしまう可能性があるほか、法的措置を含めた対応を要し、人的又は物的コストが発生するなど、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

<その他事業に関するリスク>

 その他事業は主に旅館業及びゴルフ場運営事業などのリゾート事業を行っており、上記グループとしてのリスク事項以外に以下のリスクを認識しております。しかしながら、グループ全体における影響度としましては、低いものであると認識しております。

(1)景気動向の変化について

 リゾート事業においては、景気動向、特に個人消費の動向に大きな影響を受けます。経済情勢や為替情勢、天候及び季節性事情により旅行者が減少するなど景気の先行き不透明感につながる事象が払拭されない状況が中長期的に継続する場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)労働力人口の減少に伴うサービスの質の低下への影響について

 旅館業は労働集約的なサービスの提供を中心業務としておりますが、昨今の少子高齢化に伴う労働人口の減少により今後も中長期的な人手不足が継続したような場合には、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客満足度向上及びリピート率向上のための従業員教育の実施や付加価値の提供による他社との差別化を図っておりますが、提供するサービスの質が低下した場合には顧客離れが起こり、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2025年7月1日~2026年6月30日)における日本経済は、緩やかな回復基調にある一方、物価上昇の影響により家計の購買力の回復はなお途上にあり、消費者マインドは低水準にとどまっております。個人消費には持ち直しの動きがみられたものの、米国の通商政策や中東情勢をはじめとする地政学リスク、金融資本市場の動向等を背景に、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 

 小売業界においては、物価上昇を背景とした節約志向の高まりから、消費の二極化・選別消費が一段と鮮明になりました。すなわち、季節イベントや行事など人が集まる機会には高付加価値商品の需要が底堅く推移した一方、普段の生活必需品においては価格感応度が一層高まり、選別消費が進みました。記録的な暑さや少雨などの異常気象の影響により、野菜や米穀類などの生鮮食品の価格が高騰したことや、原材料費やエネルギー価格、人件費等の上昇に起因したナショナルブランド商品の価格上昇などにより、消費者の生活防衛意識は一段と強まりました。

 

 このような環境の中、当社は2025年7月1日付で西友の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。これにより、西友の優れた人材の融合と、人口集積地である関東を中心とした店舗ネットワークの大幅な拡大を実現し、売上高1兆円を超える流通グループとして強固な事業基盤を確立いたしました。今後は、小売業界におけるプレゼンスの一層の向上を図るとともに、地域の「生活必需店」として、お客様に寄り添い続けるための基盤づくりを進めてまいります。

 西友との融合にあたって、両社の強みであるプライベート・ブランド(PB)商品の相互展開を進めるなど、シナジー創出に向けた取り組みを迅速に進めております。

 また、トライアルの強みである惣菜の販売強化と西友店舗での本格展開に向けて、両社が保有するプロセスセンターやセントラルキッチンの最適活用と稼働効率の向上に向けた体制整備を進めております。

 

 既存事業においては、新規出店による店舗網の拡大や「食」の強化及び改装による既存店の成長力強化を進めております。

 さらに、Skip Cart(決済機能付きレジカート)や、インストアサイネージ(電子看板)などIoTデバイスの導入推進によって、便利なお買い物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。

 

 以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高1,347,109百万円(前年同期比67.6%増)、営業利益30,371百万円(同43.9%増)、経常利益20,186百万円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,522百万円(同70.0%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。

 

(流通小売事業)

 流通小売事業は、『あなたの「生活必需店」。』をコンセプトとするトライアル店舗の運営及び『「西友が身近にあるしあわせ」をめざして』を使命に掲げる西友店舗の運営を行っております。

 

 トライアル店舗の運営においては、できたての惣菜をはじめとする魅力的な商品ラインナップの拡充に加え、PB商品開発を強化しました。また、地域一番価格を目指した商品を一目で伝える「エキサイティングプライス」の導入などの価格訴求施策や、POPを活用した売場強化などの価値訴求施策に注力しております。さらに、西友のPB商品「みなさまのお墨付き」の販売を推進するなど、お客様により良いお買い物体験を提供するための取り組みを進めました。

 中長期的な成長を見据え、新規出店を推進し、メガセンター3店舗、スーパーセンター21店舗、smart2店舗、小型店7店舗を出店しました。

 一方で、smart7店舗を閉鎖し、当連結会計年度末のトライアルの店舗数は、378店舗(うちFC3店舗を含む)となりました。

 改装は、スーパーセンター16店舗、smart2店舗、小型店1店舗において実施しました。

 

 西友店舗においては、食品を中心に日用品や住居品、衣料品まで幅広く取り揃えております。なかでも「みなさまのお墨付き」をはじめとするPB商品は多くのお客様から高い評価をいただいております。

 トライアルとの融合を機に、「STAND TOGETHER 生活応援 厳選100」(現在は「スゴ×トク」に名称を変更)と銘打ったキャンペーンを実施し、毎日の生活に欠かせない商品をお求めやすい価格で提供するなど、お客様起点の売場づくりを推進しました。また、西友の店舗において、トライアルの惣菜・PB商品の販売や棚割りを導入するなど、新たな顧客ニーズの把握と支持獲得を目指す取り組みを進めております。

 西友の店舗は、食品を主力とした「スーパーマーケット」と、食品から住居品・衣料品まで幅広く取り揃える大型の「ハイパーマーケット」の2つで構成されており、新たに245店舗(スーパーマーケット170店舗、ハイパーマーケット75店舗(LIVIN5店舗を含む))が、当社グループに加わりました。

 当連結会計年度における西友の出店数は1店舗(スーパーマーケット)、閉鎖数は3店舗(ハイパーマーケット3店舗)となり、合計店舗数は243店舗となりました。

 また、2025年11月、2026年2月及び4月に、西友の店舗を業態転換した新フォーマット「トライアル西友」を合計3店舗オープンしました。都市型GMSの再生モデル構築を目指し、トライアルと西友両社の強みを融合した売場づくりと商品提案を通じて、首都圏における「ワクワクするお買い物体験」の創出に取り組んでおります。

 なお、改装店舗はありませんでした。

 

 当連結会計年度末の当社グループの合計店舗数は、621店舗(うちFC3店舗を含む)となりました。

 以上の結果、当事業の売上高は1,342,480百万円(前年同期比67.9%増)、セグメント利益は34,875百万円(同47.0%増)となりました。

 

(リテールAI事業)

 リテールAI事業は、便利なお買い物体験の提供や店舗オペレーションの省力化を目指したリテールテクノロジーの開発及び導入拡大のための投資を継続実施しております。

 Skip Cartの導入推進(2026年6月末時点の当社グループ外での導入も含む導入店舗数:288店舗、導入台数:24,031台)によって、決済時にレジの列に並ぶ必要がないなど、お客様視点の利便性が向上していると同時に、店舗のスループット(時間当たりのレジ通過客数・点数)が上昇しております。

 また、小型店(TRIAL GO)において、レジ端末に設置されたカメラによる顔認証決済の実証実験を推進するなど、新しい時代の買い物体験を展開する取り組みを行っております。

 以上の結果、当事業の売上高は918百万円(前年同期比6.8%減)、セグメント利益は657百万円(同1,083.4%増)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業は、不動産・リゾート事業を含んでおり、主にリゾート施設にて「食の強化」を体現する体験型施設としての認知度が高まりつつあります。

 運営しているゴルフ場や旅館は、国内旅行の需要に加えて、アジアを中心とする訪日外国人観光客の需要を獲得することができました。

 以上の結果、当事業の売上高は2,949百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は915百万円(同42.2%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ507,540百万円増加し、807,824百万円となりました。これは主として、のれんが291,957百万円、建物及び構築物が50,992百万円、土地が41,455百万円、敷金及び保証金が30,554百万円、棚卸資産が29,899百万円、売掛金が15,262百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ502,199百万円増加し、673,454百万円となりました。これは主として、短期借入金が340,900百万円、買掛金が76,550百万円、資産除去債務(固定負債)が24,877百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ5,341百万円増加し、134,369百万円となりました。これは主として、退職給付に係る調整累計額が1,952百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を3,522百万円計上し、剰余金の配当を1,956百万円実施したことにより利益剰余金が1,565百万円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度に比べ3,424百万円減少し、68,901百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は92,055百万円(前年同期は4,446百万円の使用)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益18,266百万円、減価償却費24,250百万円、のれん償却額15,331百万円、仕入債務の増加額48,522百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は405,015百万円(前年同期は35,892百万円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が358,958百万円、有形固定資産の取得による支出が44,953百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は309,392百万円(前年同期は20,770百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入れによる収入が367,400百万円、長期借入金の返済による支出が41,122百万円、短期借入金の減少額が26,500百万円あったこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年7月1日

  至 2026年6月30日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

流通小売事業

1,342,480

167.9

グロサリー

375,558

166.7

デイリー

269,962

183.2

フレッシュ

425,254

186.7

生活

129,297

140.4

ハード

83,314

121.2

アパレル

30,168

135.5

その他

28,924

176.8

リテールAI事業

918

93.2

その他事業

2,949

107.9

合計 (注)1.

1,347,109

167.6

 (注)1.販売実績の合計額には、事業セグメントに配分していない収益761百万円を含んでおります。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.「グロサリー」は菓子類などの加工食品、「デイリー」は卵や乳製品などの日配品、「フレッシュ」は生鮮四品(青果・精肉・鮮魚・惣菜)、「生活」は日用消耗品や家庭用品、「ハード」は家電製品などの耐久性商品、「アパレル」は衣料品を示しております。

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

5.当連結会計年度より、従来「フレッシュ」に区分していた商品の一部を「デイリー」に変更しております。前年同期比は、前連結会計年度の数値を当該変更後の区分に組み替えて算定しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 当社の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績

 経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

ハ キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資、事業の拡大及び多角化を目的としたM&A等によるものであります。

 運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、企業買収等の多額の資金需要に対しては金融機関からの借入等により資金調達を実施しております。

 当連結会計年度において実施した株式会社西友の株式取得に係る資金については、金融機関からの借入及び自己資金により充当いたしました。当該借入は1年間のつなぎ融資であることから、2026年7月1日付でシンジケーション方式によるタームローンへのリファイナンスを実行し、長期・安定的な資金調達基盤を確保しております。

 なお、当社グループは手元資金に加え、取引金融機関との間で当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しており、資金の流動性を確保しております。

 

5【重要な契約等】

(財務上の特約が付された金銭消費貸借契約)

 当社は、2025年6月26日付で、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を株式会社三菱UFJ銀行との間で締結しており、その内容は以下のとおりであります。

(1)相手先の属性

都市銀行

(2)期末残高

3,674億円

(3)借入実行日

2025年7月1日

(4)弁済期限

2026年7月1日

(5)担保・保証

無担保、無保証

(6)財務上の特約

①各決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、前年度決算期の末日における純資産の部の合計額の75%以上に維持すること。

②決算期の末日における借入人の連結の損益計算書において、2期連続で営業損益の金額が0円未満となる状態を生じさせないこと。

 なお、当該借入が1年間のつなぎ融資であることから、2026年6月23日開催の取締役会において、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとしたシンジケーション方式によるタームローン契約(以下「本契約」といいます。)を締結することを決議し、2026年6月26日付で本契約を締結いたしました。本契約には、以下の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、期限の利益を喪失します。

① 各決算期末日の連結貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末日の75%の金額以上に維持すること。

② 2期連続して決算期に係る連結損益計算書上の営業損失を計上しないこと。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(子会社株式の譲渡)

 当社は、2026年8月21日開催の取締役会において、株式会社西友の一部不動産流動化に伴う株式譲渡について決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、リテールAI事業にて研究開発活動を行っているため、ここではセグメント別の記載は省略し、リテールAI事業について記載しております。

 リテールAI事業は、Skip Cartやデータ分析基盤システム(MD-Link)等の各種プロダクトの開発に加えて、それらを活用したデータマーケティングビジネスの展開に向けた研究開発活動を行っております。研究開発活動においてはプロダクト、ソリューション毎に組織を分け、経営責任の明確化を図っております。いずれのプロダクトやソリューションにおいても、テクノロジー主体ではなく、オペレーションに重きを置き、流通の現場でお客様や小売事業者、メーカー、ベンダー等が実際に活用できるものを「オペレーション・ドリブン」のコンセプトで開発を行っております。ハードウエアやソフトウエアの開発や要素技術開発、プロトタイプの作成、現場における実証実験などを研究開発活動と位置付けております。

 当連結会計年度の研究開発費は、202百万円であり、主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1)Skip Cart

 Skip Cartのプロダクト化に向けたハードウエアの開発、ソフトウエアの開発・機能改善・機能追加、現場における実証実験などを行っています。

・ハードウエア開発……要件定義、企画・設計、サプライヤー選定、検査・動作確認、品質管理、認証取得

・ソフトウエア開発……バックエンドシステム・ミドルウェアシステムの構築、UIの改善、レコメンドエンジンの開発、クーポン配信システムの開発、新規機能追加

・実証実験………………スキャン漏れ・ロス対策、利用率向上のための各種施策の実施、新規機能テスト

 

(2)データ分析基盤システム(MD-Link、e3-SMART等)、カメラソリューション、マーケティング

 データ分析基盤システムの開発、カメラを活用した小売現場で活用できるソリューションの開発、データや店舗に実装されたデバイスを活用したワン・トゥ・ワンマーケティングのシステム開発、実験などを行っています。

・データ分析基盤システム……新規機能の追加、処理速度の高速化

・カメラソリューション………作業管理、欠品検知、防犯等のソリューションの開発、実験

・マーケティング………………広告配信基盤(リテールメディアプラットフォーム)の開発、Skip Cart等を活用したワン・トゥ・ワンマーケティングの実証実験、インストアサイネージ等を活用した店舗内メディアシステムの開発