第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは「科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献する」という企業理念のもと、次のとおり行動指針並びに基幹方針を定めております。

① 行動指針

・無限の可能性に、先見力と想像力で対応

② 基幹方針

・「人=社員」がフルヤの最重要経営資源と考え、社員を大切にする経営を目指す

・コンプライアンスを重視し、高いモラルとビジョンを持った社員を育成する

・PGMに経営資源を集中する

・受注から出荷までの工程において高い品質意識をもって取り組み、顧客満足の最大化を図る

・顧客、株主に信頼される経営を目指す

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は2025年8月に2026年6月期から2030年6月期の事業運営の指針となる中期経営計画「KFKビジョン2030」を策定いたしました。「独自技術で高付加価値を創出」・「不確実な時代を乗り越え未来を切り拓く」ことを基本戦略として「デジタル社会のさらなる進展」と「グリーン社会の実現」に貢献し、持続的な成長を実現するとともに、顧客・株主に信頼を得るために、次の事柄に取り組んでまいります。

 

① 稼ぐ力の強化

・不確実な環境でも確実に基礎収益を稼ぎ出す収益力を醸成します

・“創って、造って、売る”を高速回転させます

 


 

 

② 新たな柱の創出

・5本柱(電子・薄膜・サーマル・ケミカル・回収)を更に強化します

・更なる成長分野の追求と新たな柱を構築します

 


 

③ 持続可能な成長基盤づくり

・持続可能性の高い適応力を備えた組織づくりを行います

・重要課題に取り組んでまいります

・コンプライアンスを徹底します

 

財務指標

初年度に利益計画及びROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を達成したことから目標数値を見直します。開示が可能になった時点で速やかに開示いたします。

 

当初目標(2030年6月期)

2026年6月期実績

売上高

1,500億円

1,001億円

経常利益

200億円

246億円

ROE(自己資本利益率)

10%以上

22.5%

ROIC(投下資本利益率)

8%以上

17.3%

 

詳細は、当社ウェブサイト(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7826/ir_material_for_fiscal_ym5/209733/00.pdf)で公開しております。

 


(3) 経営環境

半導体、電子機器の高機能化及び多機能化などデジタル産業のさらなる進展に向けた新たな貴金属素材及び貴金属製品の需要や、省エネルギー及び再生可能エネルギーなどグリーン社会の実現に向けた貴金属化合物及び触媒、ならびに回収・精製の新たな需要が予想されており、これらの需要を背景に、当社グループが有する加工技術及び回収・精製技術ならびに貴金属調達力へ寄せられる期待が高まっております。また、天災、地政学リスク等を背景に、サプライチェーンの強靭化による安定供給が求められております。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社の継続的課題といたしましては、高付加価値製品の開発並びに原価低減の推進、貴金属の安定確保、環境・安全対策ガバナンス体制の強化等がございます。

まず、高付加価値製品の開発並びに原価低減については、需要を的確に捉え、営業・開発・製造の各部門が一体となり他社製品との差別化・高付加価値化を図るとともに、製造工程を標準化し自動化並びに作業の効率化を進め、品質の安定を図ると共に、資産効率を高め原価低減を目指してまいります。

 


 

次に、貴金属の安定確保については、貴金属回収技術の向上・新たな技術確立を図り貴金属回収能力増強のための積極的な設備投資を行います。加えて、田中貴金属工業株式会社や鉱山会社との緊密な取引関係の維持・強化を基本方針とし貴金属の安定確保に努めてまいります。

また、当社は継続的な成長・発展と企業価値の増大を図るため、環境・安全対策に真摯に取り組むとともに、コーポレート・ガバナンス体制をさらに強化し、事業リスクのコントロールをしながら経営課題に対処することで持続的な成長に向けて鋭意取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

当社グループのサステナビリティに関する考え方や取り組みは、次の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは持続可能な環境・社会の実現と当社グループの持続的成長のための環境・社会課題への取り組みについて「サステナビリティ委員会規程」を設け、取締役会の監督の下、審議する体制を整備しております。具体的には当社グループの社長を委員長として取締役、執行役員、部門長、サステナビリティ担当者により構成されるサステナビリティ委員会が部門を横断して活動に取り組んでいます。重要案件については執行側の最高意思決定機関である経営会議で協議を行い、適宜取締役会で報告し、取締役会はそれを監督しております。

なお、コーポレート・ガバナンスの体制概要については本報告書の第一部「第4.提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 

組織体

役割

責任者

取締役会

取締役会は重要な業務執行に関する事項について審議、決裁を行う機関であり、当社グループのサステナビリティに関する課題についても適切な対応が行われているか監視・評価を行います。

代表取締役社長(議長)

サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会はサステナビリティ推進に係る方針・戦略・体制に関する事項や、サステナビリティ推進に係る取り組み状況などを調査・審議します。

代表取締役社長(委員長)

経営会議

経営会議は経営及び各業務運営管理に関する重要執行方針について協議します。

代表取締役社長が指名した者

リスク管理室

リスク管理室はリスクの発生防止と適切な対応により損失を最小限とすることを目的とします。

代表取締役社長

 

 


 

(2) 戦略

当社グループは2022年1月に「フルヤ金属CSR憲章」を制定し貴金属製品を通じて「科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献する」ことを企業理念に掲げ、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題に取り組んでいます。希少な貴金属のリサイクルや貴金属の使用量を削減する新技術開発をはじめ、環境改善につながる触媒の開発・製造を通じて地球環境の改善に取り組んでおり、グリーン社会への転換に関する新規事業分野の開拓と技術開発を重要課題の一つとしております。原材料調達に関しては「責任ある鉱物調達方針」を定めており、紛争やテロに関わる資金提供、人権損害、マネー・ロンダリング等に関係する原材料を調達しないよう取り組んでおります。

詳細はhttps://www.furuyametals.co.jp/sustainability/をご参照ください。

 

社内外の有識者と継続的な意見交換を実施し、ステークホルダーの皆様との共感・支持が得られる重要課題を特定し、その目標と達成指標を設定しました。


(3) リスク管理

当社グループの経営全般に関するリスクについては、代表取締役社長を責任者とするリスク管理室を設置し、モニタリングを行っています。当社グループにおける「業務」「財務」「法令等の遵守」「労務」「災害」「環境」などに関するリスクを物理的、経済的もしくは信用上損失又は不利益を生じさせるリスクと考え、発生度合、影響度に基づき定量化しリスクを抽出して重要リスクへの対応を行っております。今後も実効性の高いリスクマネジメント体制の確立に努めてまいります。

 


 


 

(4) 指標及び目標

再生可能エネルギー100%の電力調達を通じて、工場の電力使用におけるCO2排出量のゼロエミッション化による、2023年度比▲80%削減、さらに省エネ設備の導入・見直しによる化石燃料の使用削減を維持継続し、経済産業省評価制度におけるSクラス認定の持続的獲得を目指します。



 

(5) 人的資本

 

①ガバナンス

「2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】(1)ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

a.当社グループは企業理念である「科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献する」ことを人的資本への投資に対する基本戦略とし、行動指針である「無限の可能性に先見力と創造力で対応」していく人材の継続的な輩出を目指していきます。

 

b.人材育成方針

    当社グループが事業活動を通じて科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献することで企業価値を高め、会社と個人が成長し続けていくためには、社員の多様性を認め、様々な個性をもった人材が自ら成長し続けていくことが不可欠と考えます。そのため、当社グループでは、中期経営計画において「独自技術で高付加価値を創出」・「不確実な時代を乗り越えて未来を切り拓く」ことをKFKビジョン2030として宣言いたしました。

 

c.社内環境整備方針

    当社グループでは、多様な人財が個性を発揮しながら高い成長意欲をもって業務に取り組むことができる環境の整備に取り組んでまいります。

 

③指標及び目標

  当社グループでは、上記「(5)人的資本 ②戦略」において記載した「人材育成方針」について、次の指標を設定しており、当社指標に関する直近実績は次の通りです。

 

a.人材育成方針

指標

目標

実績

重点外部研修プログラムへの継続派遣

1名以上

2名(2025年度)

女性管理職比率

20%

7.1%(2026年6月)

障がい者雇用率

2.5%

1.87%(2026年6月)

 

 


 

b.社内環境整備方針

指標

目標

実績

死亡・休業災害件数

0件

1件(2025年度)

男性育児休業取得率

100%

82%(2025年度)

エンゲージメント調査参加率

100%

95.4%(2025年度)

 

 


 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載事項を併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 業績の変動要因について

当社グループの業績は、携帯電話、液晶ディスプレイ、電子部品及び電子デバイス関連等の電子機器メーカーや半導体、光学ガラス及び触媒関連業界における設備投資動向及び生産活動の影響を受ける傾向があります。したがって、今後これらの業界動向が悪化した場合には、当社グループの業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、米国の関税問題においては当社では大きな影響はございません。

 

(2) 貴金属の価格について

当社グループ製品の原材料は高価な貴金属が大半を占めており、また市場需要に機動的に対応し安定的に供給を果たすために必要な貴金属を保有していることから、種々貴金属価格の変動は当社グループの業績に影響を与えます。特に、プラチナグループメタル(PGM)のうち当社グループで取扱いの多いイリジウム・ルテニウムの取引価格は、主要な貴金属取扱業者の公表する価格を指標として決定されており、これらを主原料とする製品需要動向や投機的要因のほか、供給国及び需要国の政治経済動向、為替相場等、世界のさまざまな要因により、その価格は変動しております。また、プラチナやパラジウム等は国際商品市場で活発に取引されており、同じ要因によりその価格は変動しております。その価格の変動は直接売上高に影響するとともに利益にも少なからず影響を与えます。

これらのリスクに対応するため、当社グループは、海外鉱山会社と緊密な関係維持、原材料調達ルートの複線化、リサイクル原料の使用比率の向上に取り組む等、原材料価格の変動による影響の低減に努めておりますが、全量に対する原材料価格変動リスクの回避は困難であるため、製造及び在庫期間における貴金属価格の動向によっては、価格変動が当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 貴金属の調達について

当社グループ製品は、産出地や生産量が限定されるイリジウム・ルテニウム等といった稀少な金属を原材料としております。当社グループでは、原材料の調達リスクに備え一定の原材料在庫を保有しております。しかし、これら稀少金属の産出国における政治・経済情勢等の変化・法律の改正又は世界的な需給逼迫等により産出量・流通量が減少した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 為替変動の影響について

当社グループは、原材料及び製品の一部の輸出入取引を外貨建で行っており、また、海外連結子会社の財務諸表は外貨建で作成されております。従いまして、当社グループは外国為替相場の変動に係るリスクを有しております。

外国為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る収益費用及び外貨建債権債務の円換算額に影響を与え、海外連結子会社の財務諸表の円貨への換算において当社グループの業績及び財務状態に影響を与えます。

当社グループは、外国為替相場の変動による輸出入取引に係る影響を軽減するため、為替予約及び債権流動化を行っておりますが、為替変動の状況によっては、軽減の効果が十分に得られない可能性があります。

 

(5) 「主要株主」及び「その他の関係会社」の異動等によるリスク

田中貴金属工業株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権の17.30%を占めており、当社グループの「主要株主」及び「その他の関係会社」であり、同社の親会社である株式会社田中貴金属グループならびに株式会社フィールドインアンドカンパニーも「その他の関係会社」に該当しております。また、「5.重要な契約等 (2) その他経営上の重要な契約」において記載のとおり、田中貴金属工業株式会社と資本業務提携契約を締結しております。

主要株主である田中貴金属工業株式会社の当社経営方針への考え方・議決権行使等が当社の事業運営及びコーポレート・ガバナンスに影響を与える可能性があり、同社又は株式会社田中貴金属グループならびに株式会社フィールドインアンドカンパニーが、当社の経営方針についての考え方や株式の継続保有方針について変更した場合には、当社の株価や業績及び財務状態、キャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 大株主との関係について

田中貴金属工業株式会社との関係について

当連結会計年度末日現在、田中貴金属工業株式会社は当社発行済株式総数(自己株式数を除く。)の17.27%を所有する大株主であります。

取引関係について

当社は、2011年2月7日開催の取締役会におきまして、田中貴金属工業株式会社との間でイリジウム地金の安定供給等を目的として資本業務提携契約を締結いたしましたが、それに基づき、当社の主要原材料であるイリジウム等について、田中貴金属工業株式会社と仕入取引を行っております。同社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。

 

2026年6月期

仕入高(百万円)

0

総仕入高に占める比率(%)

0.0

期末買掛金残高(百万円)

-

 

 

また、田中貴金属工業株式会社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。

 

2026年6月期

売上高(百万円)

190

総売上高に占める比率(%)

0.1

期末売掛金残高(百万円)

27

 

以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は複数の取引先と取引を行っており、田中貴金属工業株式会社についても、その調達力や販売ルートを活用する場合があります。同社との取引は、当社の事業運営における選択肢の一つとして位置付けており、事業環境や取引条件等を勘案しながら、適宜取引を行っております。

今後、同社との取引関係や取引条件等に変化が生じた場合には、原材料の調達及び製品の販売等に影響を及ぼし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

人的関係について

田中貴金属工業株式会社との資本業務提携契約に基づき、取締役候補として同社の常勤顧問落合一徳氏が推薦され、指名・報酬諮問委員会の答申、取締役会での選任議案承認、株主総会での承認を経て、社外取締役に就任しております。

独立性の確保について

田中貴金属工業株式会社との資本業務提携契約に基づき、取締役候補として同社の常勤顧問落合一徳氏が推薦され、指名・報酬委員会の答申、取締役会での選任議案承認、株主総会での承認を経て、社外取締役に就任しておりますが、当社の経営上の決定事項について、同社や株式会社田中貴金属グループならびに株式会社フィールドインアンドカンパニーの事前承認事項や事前協議事項はありません。このように、当社は自らの意思決定により独立した事業展開を行っており、同社や株式会社田中貴金属グループならびに株式会社フィールドインアンドカンパニーによって当社における事業活動や経営判断が阻害されるような状況は生じておりません。しかしながら、前述のとおり同社とは重要な取引関係があることから、同社や株式会社田中貴金属グループならびに株式会社フィールドインアンドカンパニーとの関係に変化が生じた場合には、当社の株価や財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材の確保及び育成について

当社グループが引き続き事業を拡大するにあたっては、貴金属加工にかかわる技術に精通した人材が不可欠であり、このような人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えております。

当社グループとしては、中途採用や新規採用を通じて、優秀な人材を採用していく方針であります。今後とも採用活動の強化や教育・研修制度の充実に努めていく方針でありますが、当社が必要とする優秀な人材の育成・確保が当社グループの事業展開に対応して進まない場合、あるいは、何らかの理由により人材が大量に社外流出した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 同業他社との競争の激化による業績への影響

当社グループの販売する製品のなかには、ルテニウムターゲット、各種ターゲット、熱電対及び理化学用器具等、競合が激しく、価格競争も厳しい品目がありますが、当社グループは、「競合を制して、極端な価格競争に勝つこと」を目標とはしておらず、顧客ニーズを第一に提案型営業を目指して参りました。今後もこの方針に則り経営諸活動に注力いたしますが、結果として競合や価格競争に晒され、売上及び収益の低下により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品の開発等について

当社グループは顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、製品のライフサイクルや市場動向の変化を見極めると共に、新製品及び新素材の開発、新市場及び新用途の開拓に取り組んでおります。しかしながら、市場動向について、当社グループが予想する以上の変化があった場合、又は当社グループにおいてこれら開発等の活動が見込みどおりに進捗しない場合、当社グループの製品は競争力を喪失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 製品の品質について

当社グループの製品は、顧客より個別製品毎の仕様に基づく厳しい品質が要求されております。当社グループでは、ISO9001に基づく製造プロセス管理及び品質管理システムを導入する等、品質の維持・向上を進めております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合等が生じた場合には重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。その際に、当社グループの製品に何らかの瑕疵が存在した場合には代替品の納入に留まらず、代金弁済や損害賠償、さらには取引(納入)停止等が生ずる可能性があります。これらの事象が生じた場合には、製品納入先との取引が停止するほか、当社グループの製品に対する信頼性が損なわれ、他の製品納入先との取引にも影響を及ぼす可能性があります。このような場合、特にそれが大口の製品納入先である場合には、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 生産拠点の集中について

当社グループは、1990年に工場を茨城県下館市(現筑西市)のつくば工場に移転・集約して以来、一貫してこの地で生産活動を行ってまいりましたが、生産拠点の集中が生産活動の効率化に寄与してきたものと考えております。一方では、2007年12月に精製・回収の主力ラインとして土浦工場を、2010年10月に北海道千歳市に石英保護管内製化のための千歳工場を立ち上げたほか、2011年4月には土浦工場(第二期)を立ち上げ、イリジウム製品の回収精製ラインを増設いたしました。生産拠点の分散化は一部にとどまっておりましたが、2026年7月に北海道千歳市に新千歳工場を立ち上げ、今後はセンサーや石英製品の製造の開始を予定しており、生産拠点の分散化に取り組んでおります。今後も生産拠点の分散化の取り組みを進めて参りますが、自然災害等の外的要因により生産活動の停止が余儀なくされた場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 事故による操業への影響

プラズマ熔解炉、高周波溶解炉など主要設備では高温、高圧での操業を行なっており、貴金属の精製設備においては大量の薬品類を使用しております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な事故が発生した場合には、当社の生産活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13) 環境リスクについて

当社グループは、環境リスクに対して予防の大切さを認識し、つくば工場及び土浦工場においては、環境マネジメントシステムISO14001の運用を通じて、リスクの低減を図っておりますが、自然災害、工場における設備の劣化、又は原材料、薬品の人的な取扱いのミス等により、薬品の漏洩等、環境へ悪影響を与える事象が発生する危険性があります。この事象が大規模なものとなり新たな費用負担等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 知的財産に係るリスクについて

当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得による保護を図るほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう、研究開発部門を中心に、顧問弁護士や弁理士などの外部専門家の協力を得ながらリスク管理に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが現在販売している製品、或いは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 借入金依存度について

当社グループは、原材料である貴金属の調達、設備投資等に必要とする資金を主として金融機関からの借入により調達し、当連結会計年度末の借入金残高は13,796百万円となりました。なお借入金依存度は9.7%となりました。また、当社グループの売上高に対する支払利息の比率は当連結会計年度において0.9%となっております。今後、営業キャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金や増資による資金調達により、財務体質の強化に努めて参りますが、原材料である貴金属の仕入増加による借入金増加や、市場金利の上昇等があれば支払金利の負担増が生じ、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

また、借入金のうちには財務制限条項が付された借入があることから、将来において業績の悪化等により財務制限条項に抵触した場合等も含めて、新たな資金調達に障害が生じれば、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 繰延税金資産に関するリスクについて

当社グループは、現行の会計基準に基づき、会社分類の妥当性、将来の課税所得の十分性、将来減算一時差異の将来解消見込年度のスケジューリング等を検討した上で繰延税金資産を計上しております。

この中で、特に原材料の精製回収費用に関連する繰延税金資産の計上については、将来の精製回収の実行計画に基づきスケジューリングしておりますが、当該実行計画は将来の製品の受注や原材料である貴金属の国際商品市場価格に影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの業績や経営環境の著しい変化等により、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合や税率の変更を含む税制改正、会計基準等の改正等により、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度における連結経営成績は以下のとおりであります。

 

当連結会計年度(2025年7月1日から2026年6月30日)における世界経済は、米国経済が底堅く推移した一方、中国経済は、内需の弱さなどを背景に、景気の持ち直しに力強さを欠く状況が続きました。また、原材料・エネルギー価格の高止まりや、中東情勢をはじめとする地政学リスクの長期化を背景に、先行き不透明な状況が継続いたしました。わが国経済においては、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しや、賃上げの進展による内需の下支えを背景に、緩やかな回復基調が続きました。一方で、物価上昇の長期化に加え、国内金融政策の転換に伴う金利・為替市場のボラティリティの高まりなど、景気の先行きには依然として注視が必要な状況となりました。このような事業環境のもと、業績面においては、生成AIの普及に伴うデータセンターへの投資の拡大などを背景に、デジタル分野向け製品への需要は堅調に推移いたしました。また、世界的な脱炭素化やクリーンエネルギーへの投資拡大を背景に、グリーン分野における研究開発や新規案件への取り組みも進展いたしました。さらに、為替相場の円安基調も追い風となったことに加え、貴金属相場が高水準で推移したことにより、市場価格の変動が売上高の押し上げ要因となった反面、調達コストの管理が重要課題となりました。当社グループは、これらの需給動向や為替動向などの外部環境の変化に迅速に対応し、高付加価値製品へのシフトと安定供給体制の強化を推進いたしました。

このような状況のもと、当連結会計年度において、売上高100,139百万円(前期比74.5%増)、売上総利益30,272百万円(前期比113.4%増)、営業利益24,794百万円(前期比160.0%増)、経常利益24,664百万円(前期比162.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16,034百万円(前期比147.9%増)となりました。

また、当連結会計年度では、特別損失として固定資産の減損損失205百万円を計上しております。

なお、当社は当連結会計年度において、株式会社Furuya Eco-Front Technologyより中国現地法人の持分を取得し、同社を古屋有色金属(上海)有限公司へ商号変更いたしました。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は前期比74.5%増の100,139百万円となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前期比61.8%増の69,866百万円となり、売上総利益は前期比113.4%増の30,272百万円となりました。また、売上高総利益率は5.5ポイント上昇し30.2%となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前期比17.8%増の5,477百万円となりました。これは主に支払手数料が448百万円増加したことによるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は前期比160.0%増の24,794百万円となり、売上高営業利益率は前期比8.1ポイント上昇し24.8%となりました。

 

(営業外収益・費用)

当連結会計年度の営業外収益は前期比31.2%減の2,069百万円となりました。これは主に為替差益が2,193百万円減少したことによるものです。また、営業外費用は前期比30.3%減の2,200百万円となりました。これは主にデリバティブ評価損が1,719百万円減少したことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は前期比162.7%増の24,664百万円となり、売上高経常利益率は前期比8.3ポイント上昇し24.6%となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が8,416百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比147.9%増の16,034百万円となり、売上高当期純利益率は前期比4.7ポイント上昇し16.0%となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

(電子)

医療用シンチレーター(放射線にあたると、蛍光を発する物質)の単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注が底堅く推移いたしました。また、データセンター間の光通信用アイソレーター(順方向に進む光のみ透過し、逆方向の光を遮断する部品)の光学結晶育成装置向けイリジウム及びプラチナ製ルツボの受注は、新規販路の開拓も寄与し、受注が好調に推移いたしました。スマートフォン向けSAWフィルター用の機材需要も回復傾向が鮮明となりました。この結果、売上高10,807百万円(前期比83.0%増)、売上総利益3,361百万円(前期比94.4%増)となりました。

 

(薄膜)

旺盛なデータセンター投資を背景に、記憶媒体として使用されるハードディスク(HDD)向けスパッタリングターゲットの受注は引き続き好調に推移するとともに、半導体向けターゲットの受注が伸長し、売上高18,034百万円(前期比60.0%増)、売上総利益9,494百万円(前期比120.5%増)となりました。

 

(サーマル)

半導体製造装置向けの底堅い交換需要に加え、半導体製造装置メーカー及び海外半導体メーカーの投資再開や在庫調整の一巡を背景に受注は回復基調で推移したことから、売上高6,688百万円(前期比37.6%増)、売上総利益2,326百万円(前期比50.3%増)となりました。

 

(ファインケミカル・リサイクル)

苛性ソーダ製造等に使用される電極向け貴金属化合物は受注が回復するとともに、有機EL向け化合物も回復基調で推移し、化学プラント向け化合物についても持ち直しの動きが見られました。回収精製体制の見直し及び、回収精製作業の一部において発生した品質劣化に伴い一時的な費用を計上したものの、売上高27,701百万円(前期比5.2%増)、売上総利益9,161百万円(前期比41.8%増)となりました。

 

(サプライチェーン支援)

貴金属価格の上昇を背景に、当社製品の受注に関係しない貴金属原材料についての需要が高まり、売上高19,044百万円(前期比148.8%増)、売上総利益2,331百万円(前期比2,291百万円増加)となりました。

 

 

海外売上情報は以下のとおりであります。

当連結会計年度における海外売上高は72,640百万円(総売上高に占める割合は72.5%)となりました。地域別には、アジア向け輸出売上高39,146百万円(海外売上高に占める割合は53.9%)、北米向け輸出売上高14,101百万円(海外売上高に占める割合は19.4%)、欧州向け輸出売上高19,393百万円(海外売上高に占める割合は26.7%)となりました。

 

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

当社グループの生産・販売品目はリサイクル製品も多く、受注生産実態を正確に把握することが困難なため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

② 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年7月1日

至 2026年6月30日)

対前期増減率(%)

電子(百万円)

10,807

83.0

薄膜(百万円)

18,034

60.0

サーマル(百万円)

6,688

37.6

ファインケミカル・リサイクル(百万円)

27,701

5.2

サプライチェーン支援(百万円)

19,044

148.8

その他(百万円)

17,863

1,212.0

合計(百万円)

100,139

74.5

 

(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日)

当連結会計年度

(自 2025年7月1日

至 2026年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

デノラ・ペルメレック株式会社

8,780

15.3

10,384

10.4

De Nora Deutschland GmbH

9,159

16.0

4,881

4.9

 

 

 

(4) 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は115,126百万円となり、前連結会計年度末比15,418百万円増加しました。これは主に、商品及び製品5,645百万円、未収消費税が4,714百万円が増加したことによるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は27,833百万円となり、前連結会計年度末比3,677百万円増加しました。これは主に、建設仮勘定が2,432百万円、ソフトウエア仮勘定が778百万円増加したことによるものです。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は53,507百万円となり、前連結会計年度末比6,954百万円増加しました。これは主に、短期借入金が13,400百万円減少し、未払法人税等が6,763百万円増加したことによるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は10,954百万円となり、前連結会計年度末比1,776百万円減少しました。これは主に、長期借入金が1,589百万円減少したことによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は78,498百万円となり、前連結会計年度末比13,918百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が13,674百万円増加したことによるものです。

 

(5) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は7,600百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は15,763百万円となりました。

これは主に、棚卸資産の増加が9,536百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が24,458百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は3,948百万円となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,010百万円、無形固定資産の取得による支出が776百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は17,290百万円となりました。

これは主に、配当金の支払額が2,357百万円、短期借入金の返済による支出が13,400百万円あったことによるものです。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、運転資金及び設備投資資金であり、主として営業活動、金融機関からの借入及び資本調達により必要とする資金を調達しております。また当連結会計年度末の現金及び預金は7,602百万円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は215.16%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。また、中長期的な資金需要に対応するため、300億円の銀行融資枠(コミットメントライン)を有しております。

 

(7) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況

経営方針・経営戦略、経営上の目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。当社は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略」に従い、人材の育成や設備投資を行い、その達成に向け順調に推移していると考えており、引き続き諸施策に取り組んで参ります。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 営業に関する重要な契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約期間

株式会社フルヤ金属

三菱商事RtM

ジャパン株式会社

日本

貴金属地金

売買契約書

貴金属地金売買に関する契約

自 2001年2月1日

至 2001年12月31日

以降1年毎に更新

 

 

(2) その他経営上の重要な契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約日

株式会社フルヤ金属

田中貴金属工業

株式会社

日本

資本業務提携

契約

(注)1、2

2011年2月7日

(覚書)

2023年7月24日

 

1.以下のガバナンスに影響を及ぼし得る合意や、株主保有株式の処分等に関する合意を含む契約は締結しておりません。

(1) 企業・株主間のガバナンスに関する合意

(a) 役員候補指名権の合意

(b) 議決権行使内容を拘束する合意

(c) 事前承諾事項等に関する合意

(2) 企業・株主間の株式保有株式の処分・買い増し等に関する合意

(a) 保有株式の譲渡等の禁止・制限の合意

(b) 保有株式の買い増し禁止に関する合意

(c) 株式の保有比率の維持の合意

(d) 契約解消時の保有株式の売渡請求の合意

 

2.資本業務提携契約の具体的契約内容は以下のとおりです。

(1) イリジウム地金の調達等の協業を実施する。

(2) 取締役候補を推薦(当社の指名・報酬諮問委員会における答申を尊重)することができる。

(3) 資本業務提携契約に関する内容で、当社が必要と認める場合において、田中貴金属工業株式会社が推薦する1名を取締役会へオブザーバー出席を求めることができる。

(4) 当社が株式等の発行、処分又は付与を行う場合、田中貴金属工業株式会社へ通知する。

(5) 当社が合併、会社分割、株式交換等の組織再編を行う場合、事前に田中貴金属工業株式会社へ通知する。

(6) 当社が資本業務提携契約の遂行に必要と認めた場合や、連結決算を行う際に必要と認められる資料の情報を提供する。但し金融商品取引法に基づく開示に係る情報に該当するときは開示後に情報を提供する。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、進展し続けるデジタル社会や、脱炭素といった循環型のグリーン社会の確立に不可欠な素材である工業用貴金属の専業メーカーとして、多様化するユーザーのニーズに応えるとともに、社会と環境に貢献する次世代製品の開発に取り組んでおります。

なお、研究開発費の金額は当社グループで管理しており、セグメント別に研究開発費の金額を表示することが困難なため、セグメント別の研究開発費の金額については記載を省略しております。

当社グループの研究開発活動は、社内外の開発情報を有機的に結合させ、収益に繋がる開発を迅速かつ効果的に進めるため、研究統括部を設置しております。基礎研究開発のほか、脱炭素や環境のための次世代新素材の開発、触媒原料等の開発、高品質・高強度の合金の開発、新しい用途の開発、及び高度な回収精製技術の開発等に注力しています。貴重な素材をより効率的、かつ高品質に回収・再生することでサプライチェーンの安定化にも寄与するよう、リサイクルプロセスの開発にも力を注いでおります。

 

当連結会計年度における研究開発費の総額は1,290百万円であり、研究開発の主な内容は以下のとおりであります。

 

(1) 各種高機能合金製品の開発への取り組み

 白金族貴金属に限らず、顧客ニーズや新たな用途や機能に適する各種高機能合金製品の開発につとめ、量産化技術の開発も併行して積極的に取り組んで参りました。

 

(2) 貴金属化合物や触媒の開発への取り組み

 注目度の高い脱炭素・環境・エネルギー分野において、新たな用途や機能に適する触媒の重要性がさらに高まりつつある中で、有機EL向け材料としての貴金属材料や、貴金属または貴金属化合物をベースとした環境浄化のための触媒材料ないし触媒の開発に引続き取り組んで参りました。

 

(3) スクラップからの希少金属回収技術の開発への取り組み

 使用済み触媒などのスクラップや使用済み電極からの白金族金属回収、およびその他の希少金属の回収や再生については、当社グループに蓄積された技術、設備を核に、新たな技術開発に取り組んでおります。

 

(4) 大学・研究機関との共同研究

 デジタル社会、グリーン社会に係わる技術開発や研究分野において、大学や研究機関との共同研究に積極的に参画しておりますが、その成果を当社グループの製品に生かすことを通じて社会課題解決への貢献をすべく取り組んでおります。